2013 Fiscal Year Research-status Report
活性変異型Rasによる細胞老化を克服するがん進展機構の解明
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24501327
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
上北 尚正 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 准教授 (50373402)
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Keywords | Ras / CDCP1 / MT1-MMP / Invasion / Autophagy |
Research Abstract |
CDCP1がRasにより発現誘導を受けていること、癌細胞における局在が脂質ラフトであることまた、細胞外基質分解酵素であるMT1-MMPと結合することから、CDCP1がMT1-MMPを介した癌細胞の浸潤機構の関わることが示唆されていたので、CDCP1とMT1-MMPに焦点を当て癌細胞の浸潤機構の解析をおこなった。結果、CDCP1発現を抑制すると浸潤の要であるMT1-MMPが浸潤突起といわれる浸潤装置へ輸送されなくなることが明らかとなり、蛍光ゼラチン基質を用いた基質分解解析では、浸潤突起における分解が抑制されることが明らかとなった。つまり、Rasによる癌細胞の浸潤機構への寄与を示しており、Rasが初期の癌化のみならず、癌の悪性化にも関与する機構を明らかにした。 CDCP1の細胞外ドメインは切断されることが知られており、切断がCDCP1シグナルの活性化に関与するとの報告があるが、切断されたドメインに関しては報告がほとんどない。切断された細胞外ドメインのリコンビナント蛋白質の処理による細胞への影響を調べたが肺癌細胞株に関しては影響が確認できなかった。しかし今回、肺癌細胞株、膵癌細胞株においてCDCP1の切断された細胞外ドメインを検出するサンドウィッチELISAの系の樹立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年10月に所属機関の移転があった。 新規の所属機関では、新しい生命科学系の研究分野の新設であり、その立ち上げのための手続等の事務作業をおこなっていたために研究時間を削減せざるを得ず、当初の研究計画よりは遅れが出てしまった。 しかし、切断されたCDCP1を認識するサンドウィッチELISAの系の樹立に成功したこと、CDCP1が脂質ラフトにおいて細胞外基質分解酵素であるMT1-MMPと結合していること及び、CDCP1によりがん細胞の浸潤突起へのMT1-MMPの局在が制御されがん細胞の浸潤部位での細胞外基質分解能を制御していることを明らかにできたことは計画通りであり、平成25年度に進展が遅れたものに関しては、平成26年度に重点的に進めなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
活性型Rasによる細胞の空洞化を抑制するCDCP1を介したAutophagy関連因子の変化、細胞老化因子の変化をCDCP1siRNA等により検証をおこない細胞老化とAutophagyの関連性を検証する。また、CDCP1シグナル下流(PKCδを含む)因子の同定をおこなう。 CDCP1の発現誘導に関しては、Ras下流のどのシグナルが重要かを明らかにするとともに、癌細胞の特性にRas-CDCP1シグナルの経路がどのような制御機構を持っているかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年10月に所属機関の移転があり、科研費に対する移管手続及び新規所属機関の手続上の都合により該当研究費を使用できる期間が短かったこと、また、新規所属機関における研究体制を構築するために必要な施設・備品の調査をし、早期に元の研究体制を構築するための調査に時間がかかり使用できなかったため。 H25年度の未使用分に関しては、旧所属で使用し新規所属ではない物品に関して使用し、できる限り早急に計画当初の実験を進められるようにする。 具体的には、細胞培養に必須である培養液、FBS, 細胞培養用プレート及び細胞死や細胞増殖、タンパク量を測定する為の試薬及び備品の購入に使用する。さらに、各種標的因子のsiRNAやAutophagy阻害剤の購入や細胞染色用の1次、2次抗体の購入に使用する その他に、研究成果の発表のための旅費に使用する。
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