2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノ化デキストラン・マグネタイトを用いた食道癌に対する誘導温熱免疫療法の開発
Project/Area Number |
24501328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿久津 泰典 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00375677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 裕 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50263174)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞療法 / 温熱療法 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
【目的】我々はAbscopal Effectを応用し、治療局所のみならず全身の治療効果を誘導するために局所へ温熱療法を施行しその後樹状細胞を腫瘍内へ局注する治療モデルを作成し、その有用性を検討した。 【方法】マウスの扁平上皮癌SCCVIIをC3Hマウスの大腿および胸部の皮下へ移植し担癌マウスを作成した。マウスはコントロールグループ、樹状細胞のみのグループ、温熱治療のみのグループ、樹状細胞と温熱療法の併用治療のグループの4つとした。樹状細胞は10の6乗個を腫瘍内へ直接注入する方法、温熱療法はオンコターム社のOncothermiaを用い、42度30分間の加温を行った。 また、100ナノメートルのリポソームを作成し、EPR効果による腫瘍集積能を検討した。 【結果】上記4つのグループの中で、腫瘍局所の縮小率は樹状細胞療法と温熱療法の併用のグループで最も顕著に見られた。また、治療範囲外である胸部の腫瘍の腫瘍増殖抑制効果も同様に樹状細胞療法と温熱治療の併用グループで最も大きかった。さらに、腫瘍近傍のリンパ節における細胞障害性T細胞の分画を見たところ、樹状細胞のみのグループに比べ温熱療法を併用した樹状細胞療法のほうがより顕著に増加していることが明らかになった。また、そのメカニズムとして温熱治療を加えることでヒートショックタンパクの1つであるgp96の発現が増加していることをRT-PCRで確認することができた。 作成したリポソームにICGをラベル指、AVIS装置による測定で腫瘍への集積を確認できた。 【まとめ】温熱療法は治療局所のみでなく、免疫療法である樹状細胞療法の効果を高める効果が認められた。これは温熱治療によりgp96の発現増強と、それを介したT細胞の活性化であり、免疫反応の賦活効果であることが示唆された。以上より、温熱療法と樹状細胞の併用療法は有用な治療法になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の1年目は温熱療法と樹状細胞の併用療法の併用効果とそのメカニズムについて明らかにすることができた。 また、本研究のテーマの一つであるEPR効果(enhanced permeability and retention 効果)については、自作のリポソームにICGをラベルした。それをIVISは生体内の遺伝子発現やタンパク質の挙動を生きたまま体外からモニタリングすることを可能にした画期的な装置であるが、その装置を用いることにより担癌マウスにICGをラベルしたリポソームを静脈注射した後、腫瘍にICGをラベルしたリポソームが集積することを確認した。すなわち、自作のリポソームはEPR効果を持つことを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の一つは、リポソームにデキストランマグネタイトを封入し、上記のEPR効果により腫瘍に集積させる。そののち、ラジオ波を用いた温熱療法を加えることで効率的な温熱療法の開発を進める。 デキストランマグネタイトを封入したリポソームの腫瘍への集積は、ICGをラベルすることで同様にIVISシステムを用いて確認するほか、電子顕微鏡を用いてナノレベルでも確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では研究の特性上担癌マウスモデルの作成が必須である。前年同様50万円程度の実験動物購入費用および飼育費用を見込んでいある。 また、継続的にリポソームの作成コスト、ウェスタンブロット、RT-PCRなどの分子学的実験系の運用コストに70万円程度のを見込んでいる。その他、情報収集や成果発表に伴う旅費、雑費などで30万円ほどのコストを見込んでいる。
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Research Products
(3 results)