2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501330
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下平 滋隆 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (80345751)
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Keywords | 樹状細胞 / 腫瘍抗原ペプチド / がんワクチン / 担癌モデルマウス |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)ワクチン製造工程において,余剰として廃棄となる単球を用いてキラーDCワクチンを小スケールで10ロット分(1ロットに1×E7相当の樹状細胞を含む)を作製した(信州大学医学部医倫理委員会承認,臨床研究 承認番号 2107)。新規の樹状細胞ワクチンでは,4日間培養により免疫賦活剤の中で,がん細胞殺傷力(キラー活性)を約2倍から3倍に増強する免疫賦活剤Xを見いだした。 ヒト膵臓癌細胞株(Mia Paca2)を用いた担癌モデルマウス(NOD.CB17-Prkdcscid/J)を作製する予備試験を行い(信州大学動物実験計画承認, 承認番号 No. 250052),腫瘍増殖曲線によりMia Paca2接種後7日目から作製キラーDCワクチンを投与とした。MiaPaCa-2をNOD.CB17-Prkdcscid/J マウスの腹部皮下に移植後,キラー樹状細胞ワクチン投与群および無処置群を対照として,それぞれ1群を10匹に設定した。1回1×E6細胞のキラーDCワクチンをマウスの腋窩部,鼠径部の皮下に投与し,投与間隔は毎週とした。本学動物実験等実施規程に従い,人道的に腫瘍径2cmをエンドポイントとした前向き本試験を実施した(信州大学動物実験計画承認, 承認番号 No. 250078)。ワクチンの抗腫瘍効果を判定するために,腫瘍体積の増減,生存割合,完遂率を評価項目として,3~5週間を観察期間とした。観察期間終了後,全ての動物は炭酸ガス吸入により安楽死処置し,腫瘍の摘出を行なった。 無処置群と比較して,キラーDCワクチン投与群では有意に腫瘍増殖を抑制する事が判った。ワクチン投与累計5~7回において,動物に目立つ異常は認めなかった事から,ワクチン自体の安全性を支持する有用な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膵臓癌細胞株(Mia Paca2)を用いた担癌モデルマウス(NOD.CB17-Prkdcscid/J)を作製する予備試験を行った。臨床検体であるがん患者の末梢血単球を用いてキラーDCワクチンを小スケールで10ロット分作製した。MiaPaCa-2を移植した担癌モデルマウスにキラーDCワクチン投与群および無処置群をそれぞれ10匹に設定した。毎週1×E6細胞のキラーDCワクチンを投与し,人道的に腫瘍径2cmをエンドポイントとした前向き本試験を実施した。有効性および安全性を評価するin vivoの基礎研究の成果として,キラーDCワクチンは有意に腫瘍増殖を抑制する事が判った。ワクチン投与累計5~7回において,肉眼的に有害事象はなく,ワクチン自体の安全性が確認されたので,非臨床試験につなげることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫賦活剤Xを用いた作製し,動物実験に適用したキラーDCのロットに関して,HLA型拘束性の有無,機能解析としてNK活性,ELISpot法,抗原提示能,貪職能を含め詳細に評価する。 腫瘍組織内浸潤のDCの有無,周辺臓器への浸潤,肝臓,肺,骨,脳転移の有無を病理学的に診断する。また,免疫不全マウスでみられる悪性リンパ腫の自然発生の有無に関して,その発症抑制効果があったか副次的な評価を行う。これらの基礎研究の成果に基づき新規DCワクチンの有効性,安全性を科学的に総括する。 また,免疫賦活剤Xを用いたキラーDCワクチンの製造方法を知財化し,有用なDCワクチンとして学術報告を行う。 特許を得ている分離装置を組み込んだ閉鎖系培養工程を確立し,独自の調製技術により作製されたGMP適合(医薬品グレード)のDCワクチン製剤の非臨床試験を実施する。 キラーDCワクチンに対して,標的となるがん抗原としてsurvivin,WT1ペプチドをパルスして最適化させ,臨床応用のために必須となる免疫モニタリングとしてELISpot法の簡便化,最適条件の検討を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Dendritic cell-based immunotherapy targeting synthesized peptides for advanced biliary tract cancer2013
Author(s)
Kobayashi M, Sakabe T, Abe H, Tanii M, Takahashi H, Chiba A, Yanagida E, Shibamoto Y, Ogasawara M, Tsujitani S, Koido S, Nagai K, Shimodaira S, Okamoto M, Yonemitsu Y, Suzuki N, Nagaya M; DC-vaccine study group at the Japan Society of Innovative Cell Therapy (J-SICT)
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Journal Title
J Gastrointest Surg
Volume: 17
Pages: 1609-17
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Immunochemoradiotherapy for patients with oral squamous cell carcinoma: augmentation of OK-432-induced helper T cell 1 response by 5-FU and X-ray irradiation2013
Author(s)
Tano T, Okamoto M, Kan S, Bando T, Goda H, Nakashiro K, Shimodaira S, Koido S, Homma S, Fujita T, Sato M, Yamashita N, Hamakawa H, Kawakami Y
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Journal Title
Neoplasia
Volume: 15
Pages: 805-14
Peer Reviewed
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