2012 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー制御に基づく効果的な癌免疫療法の確立
Project/Area Number |
24501331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原田 守 島根大学, 医学部, 教授 (50260716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / アポトーシス / オートファジー |
Research Abstract |
初年度は、ヒト乳癌、ヒト膵臓癌の細胞株を用いて、癌細胞特異的にdeathシグナルを介してアポトーシスを誘導するTRAIL、アジュバント受容体リガンドのtransfectにより誘導される癌細胞のアポトーシスとオートファジーの(相互制御の)関係を明らかにすることに取り組んだ。1)ヒト癌細胞でのオートファジーの発現の検証:種々のヒト癌細胞株でオートファジーが構成的、又は、誘導性に生じているかをLC3 type IIの発現をimmunoblot法で、GFP-LC3 遺伝子を発現させた癌細胞ではGFP-LC3 fociの形成を共焦点顕微鏡で検証し、オートファジーが生じていることを確認し、その評価系を確立した。さらに、一部の癌細胞株では、GFP-LC3 遺伝子を恒常的に発現させたstable transfectsを確立した。2)TRAILが誘導するアポトーシスとオートファジー:Death receptor を介するシグナルで癌細胞にアポトーシスを誘導するTRAILが、癌細胞にアポトーシスを誘導する場合に、オートファジーを誘導・増強または抑制することによりアポトーシスの程度が影響受けるかを、オートファジーに必須の分子であるBeclin-1やATG5を knock downすることにより検証し、確かにオートファジーがアポトーシスに対して防御的に作用していることを明らかにした。3)TLRリガンド刺激による癌細胞でのアポトーシスとオートファジーの検証:poly(I:C) transfectionで誘導されるアポトーシスでのオートファジーの役割を検証し、この実験系においてもオートファジーが防御的に作用していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ヒト乳癌、膵臓癌の細胞株や手術切除した癌組織細胞を用いて、癌反応性キラーT細胞、TRAIL、アジュバント受容体リガンドのtransfectionにより誘導される癌細胞のアポトーシスとオートファジーの(相互制御の)関係を明らかにすることを目的としたが、実験に使用する癌反応性キラーT細胞の準備は困難であった。しかし、再現性をもって実験に使用するには癌反応性キラーT細胞と同様に癌細胞死を誘導するTRAILが有用であった。その後、TRAILを用いて、癌細胞のアポトーシスを検証し、オートファジーの役割を検討したが、予想通り、オートファジーは細胞防御的に作用していることを明らかにできた。一方、申請者らがすでに報告した、TLR3リガンドであるpoly(I:C)を癌細胞の細胞質内transfectし、細胞死を誘導する実験系においても、予想通り、オートファジーが防御的に働いていることを明らかにできた。これらの研究成果もすでに論文として報告したことから、初年度の研究目的はおおむね達成できたのではと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、ヒト乳癌、膵臓癌の細胞株を用いて、TRAIL、アジュバント受容体リガンドのtransfectionにより誘導される癌細胞のアポトーシスとオートファジーの(相互制御の)関係を明らかにすることに取り組み、大部分は達成したので、今後の研究は、ヒト癌細胞をTRAILまたは抗体とNK細胞を用いたADCC治療した場合に、癌幹細胞が選択的に残存するか、もしそうであれば、その過程にオートファジーが関与しているかを膵癌と乳癌細胞を用いて取り組む。さらに、オートファジー抑制による癌免疫療法の治療効果の増強をxenograft model を用いてin vivo の実験系で検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は未使用額(4,111円)が生じた。この未使用額(4,111円)も含めて次年度は、オートファジーと癌幹細胞の関連性を明らかにする予定である。そこで、ヒト癌細胞をTRAILで処理してアポトーシスを誘導した時に、残存した癌細胞中の癌幹細胞の比率をCD133、CD24、CD44をマーカーとして検討する。乳癌の場合は、herceptinとNK細胞によるADCCの系を用いる。これを実施するために、種々の抗体を購入する必要がある。また、癌細胞のオートファジー関連遺伝子(Beclin1, ATG5 etc.)をsiRNAでknock downして検証するために、これらのsiRNAやtransfection reagentを購入する。さらに、オートファジー誘導剤であるrapamycinやオートファジー阻害剤である3-methyladenineを購入する。また、xenograft mouse model を用いて in vivo で検討するので、免疫不全マウスを購入する。以上、大部分が、消耗品の購入に充てる予定である。
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[Journal Article] Interleukin-17A is involved in enhancement of tumor progression in murine intestine.2012
Author(s)
Oshiro K, Kohama H, Umemura M, Uyttenhove C, Inagaki-Ohara K, Arakawa T, Harada M, Nakae S, Iwakura Y, Nishimaki T, Matsuzaki G.
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Journal Title
Immunobiology
Volume: 217
Pages: 54-60
DOI
Peer Reviewed
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