2015 Fiscal Year Annual Research Report
予後改善を目指した膵悪性腫瘍の統合的病態解明と新規治療標的の探索
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24501337
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石原 武 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60312948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 素久 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00554239) [Withdrawn]
三方 林太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60596146)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵癌 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年から25年度にかけて、手術症例計50検体(膵癌27例、IPMC 17例、IPMA 6例)の解析から膵癌において約200種類のイオン性代謝物を同定した。また腫瘍部と非腫瘍部の平均値を比較検討し、腫瘍部では非腫瘍部に比べて、乳酸の蓄積ならびにグルコースの低下がみられ、これまでの報告のある大腸がん・胃がん同様、Warburg効果を示すことがわかった。また腫瘍組織での比較ではIPMA⇒IPMC⇒膵癌と 生物学的悪性度が高くなるにつれて、乳酸の蓄積ならびにグルコースの低下が進行することが明らかとなった。26年後は同定した代謝物の中から、正常組織と比較して生物学的悪性度が高くなるにつれ低下する、あるいは上昇する代謝物を抽出した。これら代謝物に関与する代謝酵素、例えばornithineからputrescineへ変換するornithine decarboxilaseは膵癌組織で活性が亢進していると考えられ、膵癌における特異的な酵素活性異常を示す可能性があり、新規創薬標的となりうる。また人間ドックで採取した健常人96例、膵癌51例、IPMN7例の血清の解析も行い、主成分分析にて健常人と比較し明らかな差異を認めた。健常人と比較し膵癌で高値となる代謝物も同定され、これらは新規膵癌マーカーの候補となりうると考えられた。 平成27年度に膵液を用いた解析を主に行った。膵液を用いたメタボローム解析は濃度の変動が症例毎に大きく解析が困難であった。また膵液中のサイトカインの検討についても癌と良性疾患において明らかな差を認める物質を抽出することができなかった。そのため、IPMN46例において膵液中CEA濃度と良悪性の関連について検討し、手術検体にてCEA免疫染色を行ったところ、IPMCでIPMAと比較し有意にCEA濃度が高く、免疫染色においても有意に強陽性が多く、良悪性診断に有用と考えられた。
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Research Products
(1 results)