2012 Fiscal Year Research-status Report
肺がんの新規診断マーカー、治療標的分子の機能解析、開発
Project/Area Number |
24501341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高野 淳 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (50582607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
肺がんの新規腫瘍マーカーの探索と新規治療標的分子の開発を行い、早期診断、予後診断、薬剤感受性診断を含めた血清マーカー・組織診断予後マーカーや新規治療薬として臨床応用することを目的として研究を進めている。 我々はこれまでいくつかの膜・分泌タンパクについて、診断マーカー、予後因子、治療標的分子候補として、報告しているが、その他の候補タンパクについても研究を継続している。 H24年度は、120例の肺癌検体を用いたcDNAマイクロアレイの解析結果より同定した分泌蛋白LASEP1(Lung Cancer Associated Serum Protein1)について主に解析を行った。 抗LASEP1抗体を用いて根治的腫瘍切除術を受けた非小細胞肺癌374症例を免疫組織染色による検討で、LASEP1は、非小細胞肺癌の56.1%(210/374例)で強発現を認め、LASEP1強陽性は予後不良因子であった(P<0.0001)。ELISA法を用いて肺癌患者の血清LASEP1濃度を検討し、LASEP1陽性率は38.6%(127/329例)、健常者での偽陽性率は3.9%(4/102例)であり、肺癌の診断マーカーとしても有用であることが判明した。。肺癌細胞株におけるLASEP1の発現をsiRNAで阻害したところ、有意に細胞増殖が抑制された。また、LASEP1に対するreceptorとして、LASEPRを同定し、LASEP1が培養上清中に分泌され、細胞膜上でLASEPRに結合することが確認できた。抗LASEP1抗体を培養上清中に加えると、細胞の増殖が抑制され、更にヌードマウスに皮下移植した腫瘍の増殖も抗LASEP1抗体が抑制した。LASEP1に対するsiRNAを導入した細胞に対しGene chipを用いて、いくつかの下流遺伝子を同定した。 その他の候補タンパクについても、同様に検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺がんの新規腫瘍マーカーLASEP1について、診断マーカー、予後因子、治療標的分子候補として有望であることはおおむね確認できた。 LASEP1は肺癌で高頻度に発現上昇し、正常臓器での発現が低い分泌蛋白で約400症例の非小細胞肺がんのTissue Microarrayを免疫組織染色で、LASEP1の発現が有意に予後に関与した。ELISA法を用いて肺癌患者の血清LASEP1濃度を検討したところ、健常者血清中のLASEP1濃度と比べ、有意に肺がん冠者中のLASEP1濃度は高値を示した。また、LASEP1陽性率は38.6%(127/329例)、健常者での偽陽性率は3.9%(4/102例)であった。 機能解析については、肺癌細胞株におけるLASEP1の発現をsiRNAで阻害したところ、有意に細胞増殖が抑制され、過剰発現させると増殖が亢進した。LASEP1を肺癌細胞株の培養上清中に加えると増殖が亢進し、また、LASEP1に対するreceptorとして、LASEPRを同定した。LASEP1が細胞膜上でLASEPRに結合することも確認できた。LASEP1は、autocrine, paracrine的にLASEPRを介して、肺癌の増殖に関与することが明らかとなった。更にin vitro, in vivoで、抗LASEP1抗体の細胞増殖抑制効果が確認できた。 他方、LASEP1に対するsiRNAを導入した細胞に対しGene chipを用いて、がんの増殖に強く関与する下流遺伝子を同定した。 LASEP1以外のタンパクについても並行して、診断マーカー、治療標的分子候補としての有用性を検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
LASEP1は肺癌で高頻度に発現上昇し、正常臓器での発現が低い分泌蛋白で約400症例の非小細胞肺がんのTissue Microarrayを免疫組織染色で、LASEP1の発現が有意に予後に関与した。ELISAを用いた400症例の血清タンパク濃度の検討では、肺癌の診断マーカーとしても有用であることが判明したが、他の施設の検体を使用して、validation studyを行い、早期の実用化に向けた検討を行う。 LASEP1は正常臓器の脳、副腎に発現しており、抗LASEP1抗体の与える副作用についてもin vivoでの検討を行う必要がある。 他方、LASEP1に対するsiRNAを導入した細胞に対しGene chipを用いて、がんの増殖に強く関与する下流遺伝子を同定しているが、、それらの遺伝子についても機能解析を行い、新たな治療標的の探索にもつなげる。 その他、これまでに候補として検討している候補タンパクのうち一部は肺癌以外の他臓器でも発現上昇が認められており、肺がん以外の他癌腫患者での診断マーカー、治療標的分子候補としての有用性も合わせて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
癌細胞、癌組織からmRNA, タンパクを回収し、RT-PCR、western blot、ELISA、免疫組織染色などで引き続き、その他の候補タンパクについても、肺癌で高頻度に発現上昇し、正常臓器での発現が低いことを確認する。機器はこれまでで揃っており、研究費は主に抗体、試薬などの消耗品の購入に使用する。肺癌で高い発現、正常組織でほとんど発現がないことを確認できた場合、siRNAで遺伝子発現を抑制した際に増殖が抑制されるかどうかを確認する。 LASEP1については下流遺伝子の発現、機能解析をRT-PCR, western blot, ELISA、免疫染色、siRNAで検討する、その他、細胞内のどのシグナルに関与しているかの検討も行う。 肺がん診断マーカーとしてこれまで報告してきた有望な候補タンパクについて、口腔がんにおいても診断マーカー、予後因子としての有用性の検討を、RT-PCR、western blot、ELISA、免疫組織染色、siRNAで同様に行っていく。これらの検討に必要な試薬、抗体の購入に主に研究費を使用する。 その他、日本、米国でこれらの研究の進捗について、報告し、他施設の研究者との議論を行い、関連した発表を行っている研究者の発表を聴き、有用な情報の収集に努める。学会への参加費の一部にも研究費を使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] RASEF is a novel diagnostic biomarker and a therapeutic target for lung cancer.2013
Author(s)
Oshita H, Nishino R, Takano A, Fujitomo T, Aragaki M, Kato T, Akiyama H, Tsuchiya E, Kohno N, Nakamura Y, Daigo Y.
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Journal Title
Molecular Cancer Research
Volume: Epub ahead of print
Pages: 0
Peer Reviewed
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