2013 Fiscal Year Research-status Report
肺がんの新規診断マーカー、治療標的分子の機能解析、開発
Project/Area Number |
24501341
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高野 淳 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (50582607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
早期診断、新規治療標的分子の開発のため、肺がんcDNAマイクロアレイのデータより、肺がんで高頻度に発現上昇し、生命維持に重要な正常組織で発現のほとんどないタンパクについて解析を行っている。H25年度は、複数の候補タンパクの中で、肺がんで高頻度に発現上昇し、正常臓器での発現が低い分泌蛋白LASEP3 (Lung Cancer Associated Serum Protein3)についての発現解析、機能解析を中心に行った。非小細胞肺がんのTissue microarrayを用いた免疫組織染色による検討で、LASEP3は、非小細胞肺がんの54.8%(198/361例)で高レベルの発現を認め、LASEP3強陽性は予後不良因子であった(P=0.0183)。ELISA法による非小細胞肺がん患者血清における LASEP3の陽性率は61.8%(160/259例)であり、一方、健常者での偽陽性率は5.5%(6/109例)であった。早期肺がん(stage I-IIB)の40%で陽性であった。肺がん細胞株におけるLASEP3の発現をsiRNAの導入により阻害したところ、有意にがん細胞 増殖、浸潤が抑制され、G0/G1 arrestの誘導を認めた。LASEP3に対するsiRNAを導入した細胞に対しGene chipを用いて、いくつかの下流遺伝子を同定できた。 更に、血清LASEP3濃度が肺がん以外に、乳がん、大腸がんでも、健常者と比べて、高値を示しており、有望な血清マーカー候補であることが示唆された。引き続き、その他の候補遺伝子とともに臨床応用に向けて、研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LASEP3について非小細胞肺がんのTissue microarrayを用いた免疫組織染色による検討で、LASEP3は、非小細胞肺がんの54.8%(198/361例)で高レベルの発現を認め、LASEP3強陽性は予後不良因子であった(P=0.0183)。ELISA法による非小細胞肺がん患者血清における LASEP3の陽性率は61.8%(160/259例)であり、一方、健常者での偽陽性率は5.5%(6/109例)であった。早期肺がん(stage I-IIB)の40%で陽性であった。早期の診断マーカーとしても有用であることが分かった。肺がん細胞株においてLASEP3が、肺がん細胞の増殖、浸潤に影響し、LASEP3の下流遺伝子をいくつか同定できた。 臨床応用に向けて課題はあるが、LASEP3が肺がんの早期の段階から発現上昇し、増殖浸潤に影響し、有望な候補であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
LASEP3の機能解析については、LASEP3が、がん細胞に与える影響などについて、タイムラプス顕微鏡などで、継時的な変化を確認する。下流遺伝子については、現在、候補が多数あり、絞り込めていないので、データベース、統計解析を用いて、絞り込みを行い、PCRで確認を行う。抽出し、有望な候補であることが確認できた下流遺伝子については、肺がんにおける機能解析を進め、新たな候補となるかも含めて、検討する。 LASEP3以外の候補についても引き続き、検討し、最終的には、既存の腫瘍マーカーも含めて、比較を行って、有望なマーカーを抽出したり、既存のマーカーで検出できない部分の検出も試みる。近年、EVOSなどビーズとフローサイトメーターを用いて、最少15μlの血液で、最大78検体、最大100種類のマーカーの測定が可能となっており、複数個の血清マーカーを組み合わせた検出も視野にいれて、研究を進めている。
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Research Products
(7 results)