2013 Fiscal Year Research-status Report
新治療薬の開発を目指した、肝細胞癌特異的ピンポイントターゲッティング
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24501354
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
梯 アンナ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60382222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鰐渕 英機 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90220970)
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Keywords | 分子標的治療 / 肝臓癌 / siRNA / ヌードマウス |
Research Abstract |
本研究は、肝臓癌の新規治療のための有用なターゲットの発見と、肝発がんの機序の解明を目的とした。ヒト肝臓癌細胞株(HepG2, Huh-7)とラット肝臓癌細胞株(RH-7777)を用いて、以前に肝臓癌と肝前がん病変で有意な過剰発現が見られた珍しい蛋白:canopy 2 homolog (CNPY2)、cache domain containing 1 (CACHD1)、immediate early response 5-like (IER5L)及びWD and tetratricopeptide repeats 1(WDTC1)のsiRNAトランスフェクションを行い、遺伝子をノックダウンし、LC-MS/MS及び in vitro機能解析を行った。 CNPY2、CACHD1、IER5L及びWDCT1をノックダウンした細胞の増殖及び成長がsiRNAコントロールに対して有意に減少していることが認められた。Cell invasion assay及びcell migration assay の結果により、CNPY2をノックダウンした細胞において、siRNAコントロールに対して腫瘍細胞の浸潤活性及び移動活性の有意な抑制が見られた。CNPY2knとCACHD1kn細胞のプロテオーム及びIPA解析の結果により、TGF-β伝達関連蛋白質の発現が誘導されていた。また、発現変化見られた蛋白質の上流調節因子NFE2L2、SP1、HNF1A及びc-mycとN-Myc(CACHD1knのみ)の活性の抑制が認められた。 さらに、免疫染色解析を行い、ヒトNASH由来の肝臓癌及びHCV陽性の肝臓癌組織におけるCNPY2、CACHD1、IER5L及びWDCT1の有意な過剰発現が認められた。臨床病理学的解析ではKaplan-Meier法による生存分析とlog-rank testを施行し、CNPY2陽性例と陰性例との間に生存期間の有意差を認めた。生存解析結果により、HCV陽性患者さんの癌組織がCNPY2陽性であった場合は予後が悪いことが認められた。したがって、CNPY2がHCV陽性の肝細胞癌の予後因子になりうる可能性が示された。今回の結果より、候補蛋白質としてCNPY2及びCACHD1は肝細胞癌において、大事な役割を持つ新規治療のための分子ターゲットになりうる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HepG2、Huh-7、ラット肝臓癌細胞のRH-7777を用いてCNPY2、CACHD1、IER5L及びWDTC1のsiRNAを用いてリバーストランスフェクションし、遺伝子のRNAサイレンシングを行った。細胞生存アッセイの結果により、CNPY2 (CNPY2kn)、CACHD1(CACHD1kn)、IER5L(IER5Lkn)及びWDTC1(WDTC1kn)をノックダウンしたHepG2, Huh7及び RH-7777細胞の成長率及び増殖がsiRNAコントロールの細胞株に対して有意に減少していることが認められた。Cell invasion assay及び migration assayの結果により、CNPY2kn HepG2、Huh7及び RH-7777細胞株において、siRNAコントロールに対して腫瘍細胞の浸潤活性及び移動活性の有意な抑制が認められた。IER5Lkn及び WDTC1knの転移活性や移動活性の有意な変化が認められなかった。CNPY2kn及びCACHD1kn細胞株のQSTAR Elite LC-Ms/Msを用いたプロテオーム及びIPA解析を行った。その結果により、CNPY2kn及びCACHD1kn細胞株ではsiRNAコントロールに対してTGF-β伝達関連蛋白質の発現が誘導されていた。また、発現変化見られた蛋白質の上流調節因子NFE2L2, SP1, HNF1A, FOXA2 (CNPY2knとCACHD1kn)及びc-mycとN-Myc(CACHD1knのみ)の活性の抑制が認められた。さらに、86例のHCV患者及び30例NASHの患者さんの術後の腫瘍切片を用いてCNPY2、CACHD1、IER5L及びWDTC1において臨床病理学的解析(生存解析、Chi-Square 及びFisherの直接法、単変量及び多変量解析)を行った。臨床病理学的Kaplan-Meier法による生存分析とlog-rank testを施行し、CNPY2陽性例と陰性例との間に生存期間の有意差を認めた。生存解析結果により、HCV陽性患者さんの癌組織がCNPY2陽性であった場合は予後が悪いことが示された。したがって、CNPY2がHCV陽性の肝細胞癌の予後因子になりうる可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro 解析 前年度に引き続き、CNPY2及びCACHD1の遺伝子をCOS細胞にトランスフェクションし、MTT assayを用いて細胞の成長、細胞増殖、細胞死、細胞の移動力について検討する。Cell invasion assayを用いて遺伝子をノックダウンした細胞の移動を測定し、血管新生,腫瘍細胞の転移,浸潤などについて検討する。RT-Q-PCR及びウェスタン・ブロット及びLC-MS/MSプロテオーム解析、蛍光免疫染色を用いて、目的蛋白の機能(遺伝子の模写、蛋白の局在、合成蛋白の検索、蛋白の触媒能)解析を行う。そのために、MTT及びcell invasion assay キットを購入する。機能解析のためにQSTAR Elite LC-MS/MSプロテオーム解析のためを行う。そのためにABSciex社のiTRAQ試薬及びプロテオーム解析キットを購入する。In vitro解析では蛍光免疫染色を行う。免疫染色抗体及び免疫染色キットを購入する。 In vivo 解析 肝臓癌細胞株を皮下(xenograftモデル)に移植したBalb/cヌードマウスを用いて、in vitroで選択された蛋白質のsiRNA lipofection後、細胞をマウスに皮下注射し、できた腫瘍のサイズ、数、病理組織学的所見、細胞増殖(Ki-67)、アポトーシス(Tunel)及びプロテオームの変化について解析し、治療効果を検討する。そのためにBalb/C nu/nuマウスを購入する。動物の餌(MF pellet)を購入する。目的蛋白のsiRNAを購入する。LC-MS/MS用のプロテオーム解析キットを購入する。RT-PCRのために遺伝子解析キットを用いる。In vivo解析でのBALB/C nu/nuマウスの腫瘍の免疫染色を行う。目的蛋白の免疫染色抗体及び免疫染色キットを購入する。
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Research Products
(4 results)