2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素LARGEを用いたジストログリカンの機能亢進による新規癌治療法の開発
Project/Area Number |
24501357
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
清水 輝夫 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (00107666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 糖鎖 / ジストログリカン / ラミニン / LARGE |
Outline of Annual Research Achievements |
近年各種の癌においてα-ジストログリカン(α-DG)の糖鎖修飾不全によるラミニン結合能の低下が見い出された。一方、糖転移酵素LARGEはα-DGの糖鎖修飾を亢進しラミニン結合能を増強する。本研究はこのLARGEの作用を利用した癌に対する新規治療法の開発を目指すものであり、以下に示す新たな知見を得た。 1)LARGE遺伝子を安定高発現するHeLa細胞株を作製し、細胞の接着能、増殖能、浸潤能を検討した。この結果野生型HeLa細胞に比してLARGE高発現HeLa細胞は接着能が2.75倍に増強した一方で、増殖能は60%に減弱、さらに浸潤能は5.59%と著減することを明らかにした。 2)野生型HeLa細胞とLARGE安定発現HeLa細胞の遺伝子発現の変動についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に検討した。データベースDAVIDを用いたfunctional annotation clustering解析の結果、cell migration、cell adhesion、cell differentiation等に関与する遺伝子群の有意な発現変動を認めた。 3)LARGEが癌細胞以外の正常細胞に対してどのような作用を発揮するか検討するために、LARGEトランスジェニックマウスならびにC2C12筋芽細胞を用いて骨格筋の分化におよぼすLARGE高発現の影響を検討した。この結果LARGEは骨格筋の分化を遅延させる作用を有し、これはIGF-1の抑制を介する結果である事を明らかにした。 これらの結果から、LARGEによるα-DGの糖鎖修飾の亢進はラミニン結合能の増強に加えて細胞遊走その他に関わる多くの遺伝子郡の発現変動を介して癌細胞の増殖、浸潤能を抑制することが明らかとなった。しかし他の細胞種に対しては分化を抑制する場合もあることから、生体への応用に際してはさらなる検討が必要と考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Overexpression of LARGE suppresses muscle regeneration via down-regulation of insulin-like growth factor 1 and aggravates muscular dystrophy in mice2014
Author(s)
Saito F, Kanagawa M, Ikeda M, Hagiwara H, Masaki T, Ohkuma H, Katanosaka Y, Shimizu T, Sonoo M, Toda T, Matsumura K.
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Journal Title
Hum Mol Genet
Volume: 23
Pages: 4543-4558
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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