2012 Fiscal Year Research-status Report
日本人および日系人におけるヘテロサイクリックアミンの曝露評価に関する研究
Project/Area Number |
24501366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
岩崎 基 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 室長 (60392338)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 曝露評価 / 生体試料 / 食物摂取頻度調査票 / 妥当性研究 / 日系人 |
Research Abstract |
ヘテロサイクリックアミン曝露と大腸がんリスクとの関連を明らかにするために、日本人および日系人を対象に食物摂取頻度調査票による曝露評価法の確立を目指した研究を行っている。 平成24年度は「国立がん研究センターがん予防・検診研究センターのがん検診受診者を対象とした食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において収集した既存の食事調査データ(144人)を用いて、食物摂取頻度調査票から推定したヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性を検討した。パーマをかけていない、染色をしていない、という条件を満たす対象者65人の毛髪を用いて、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計により、2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)の濃度を分析した。また食物摂取頻度調査票の回答と食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの値からヘテロサイクリックアミン摂取量を推定した。検出下限値以上の値であった57人の平均PhIP濃度は、53.8 pg/g hairであった。また1日あたりのヘテロサイクリックアミンの平均摂取量は、男性が44.1 ng、女性が35.4 ngであった。毛髪中PhIP濃度とヘテロサイクリックアミン摂取量との間には有意な正の相関が見られた。メラニン濃度で調整した毛髪中PhIP濃度とエネルギー調整したPhIP摂取量との間のスピアマンの順位相関係数は、対象者全体で0.35、検出下限値以上の対象者に限定した場合が0.21、定量限界値以上の対象者に限定した場合が0.34であった。 今回の結果は、日本人を対象とした食物摂取頻度調査票から推定したヘテロサイクリックアミン摂取量が、疫学研究における対象者のランキングとして妥当であることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画は「国立がん研究センターがん予防・検診研究センターのがん検診受診者を対象とした食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において収集した既存の食事調査データ(144人)を用いて、下記の手順で食物摂取頻度調査票から推定したヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性を検討することであった。 (1)毛髪サンプル1gをブルーキチン吸着法により前処理を行い、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計により、2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)の濃度を分析する。 (2)食物摂取頻度調査票の回答と食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの値から、PhIP、2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f]quinoxaline (MeIQx)、2-amino-3,4-dimethylimidazo[4,5-f]quinoline (MeIQ)、3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido[4,3-b]indole (Trp-P-1)の摂取量を計算し、これらの合計を総ヘテロサイクリックアミン摂取量とする。 (3)上記(1)と(2)の結果から、相関係数の算出などの統計学的検討により妥当性を評価する。 このうち(1)と(2)は終了し、(3)についても概ね終了していることから、研究実施計画に従い概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度に引き続き、日本人におけるヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性の検討を行い、平成25年度前半の論文化を目指す。 2.平成25年度は、「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において収集した食事調査データ(約100人)を用いて、毛髪中2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)の分析を行い、食物摂取頻度調査票の回答と食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの値からヘテロサイクリックアミン摂取量を推定し、両者の情報を用いて、食物摂取頻度調査票から推定したヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性を検討する。 3.平成26年度以降は、日本人およびサンパウロ在住日系人におけるヘテロサイクリックアミンの曝露レベルの違いを明らかにすることを目的に、同一条件で分析された毛髪中PhIP濃度を比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)