2013 Fiscal Year Research-status Report
日本人および日系人におけるヘテロサイクリックアミンの曝露評価に関する研究
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24501366
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
岩崎 基 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 部長 (60392338)
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Keywords | 曝露評価 / 生体試料 / 食物摂取頻度調査票 / 妥当性研究 / 日系人 |
Research Abstract |
ヘテロサイクリックアミン曝露と大腸がんリスクとの関連を明らかにするために、日本人および日系人を対象に食物摂取頻度調査票による曝露評価法の確立を目指した研究を行っている。 平成25年度は、「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において収集した食事調査データ(93人)から、パーマをかけていない、染色をしていない、という条件を満たす日系人46人の毛髪を用いて、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計により、2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)の濃度を分析した。46人中、41人からPhIPが検出され、定量限界値以上の対象者は37人であった。この37人における毛髪中PhIP濃度の平均値(標準偏差)は145.2 (96.4) pg/g hair、中央値(第1-第3四分位)は94.0 (78.7-198.3) pg/g hairであった。昨年度は日本人を対象に同様の分析を行ったが、定量限界値以上の対象者24人の毛髪中PhIP濃度の平均値(標準偏差)は87.1 (47.4) pg/g hair、中央値(第1-第3四分位)は74.7 (56.9-98.3) pg/g hairであり、日系人集団の方が高い傾向が見られた。 サンパウロ在住日系人についても食物摂取頻度調査票からヘテロサイクリックアミン摂取量を推定するために、ブラジル食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの値を用いた計算プログラムを作成している。摂取量の推定が可能となった後に、食物摂取頻度調査票による摂取量の妥当性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画は以下の通りであった。 1.平成24年度に引き続き、日本人におけるヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性の検討を行い、平成25年度前半の論文化を目指す。 2.平成25年度は、「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において収集した食事調査データ(約100人)を用いて、毛髪中2-Amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)の分析を行う。その後、食物摂取頻度調査票の回答と食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの値からヘテロサイクリックアミン摂取量を推定し、両者の情報を用いて、食物摂取頻度調査票から推定したヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性を検討する。 上記1. の論文化作業は、現在、査読コメントに従い改訂した論文を投稿中であり、予定通りの進捗である。上記2.については、予定していたサンパウロ在住日系人の毛髪中PhIPの分析は終了したが、食物摂取頻度調査票からのヘテロサイクリックアミン摂取量の推定については、現在、計算プログラムの作成中である。このように研究実施計画に従い概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において分析した毛髪中PhIP濃度を用いて、ヘテロサイクリックアミン摂取量の妥当性の検討を行い、平成26年度前半の論文化を目指す。 これまでに分析した日本人および日系人の毛髪中PhIP濃度のデータの比較により、日本人およびサンパウロ在住日系人におけるヘテロサイクリックアミンの曝露レベルの違いを明らかにする。また、各集団において毛髪中PhIP濃度および総ヘテロサイクリックアミン摂取量に寄与する食品を検討し、摂取源の違いを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において食事調査の責任者で栄養疫学者である、Prof. Sangita Sharmaと食物摂取頻度調査票からのヘテロサイクリックアミン摂取量の推計方法について打合せを行う予定であったが、平成25年度内には予定が合わずに実現しなかった。しかし平成26年4月中旬に打ち合わせができたため研究進捗に対する影響は小さく、全体として概ね順調に進展している。ただし研究費の観点からは、この打ち合わせのための費用が平成25年度には支出されず、平成26年度に持ち越された形になっている。 持ち越された分は、主に「サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫の断面研究参加者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究」において食事調査の責任者で栄養疫学者である、Prof. Sangita Sharmaと食物摂取頻度調査票からのヘテロサイクリックアミン摂取量の推計方法についての打合せに係る旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)