2013 Fiscal Year Research-status Report
人との共存を目指したGPSを利用したクマのリアルタイムハザードマップ
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24510010
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山本 麻希 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90452086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 克之 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (00432097)
入江 博樹 熊本高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70249887)
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Keywords | 安全 / ネットワーク技術 / GPS測位 / ツキノワグマ |
Research Abstract |
野生動物の生態観測の装置は基本的にバッテリ駆動となるため、装置の省電力化が重要な課題となる。本研究で対象としているクマでは、休止(睡眠)状態を検知できれば計測装置をスリープ状態とでき、大幅な省電力化と長期間観測が可能となる。そこで、2年度目となる本年は、クマの活動パターンを3軸の加速度センサーで計測するデータロガー装置を新規に開発し、これを首輪として取りつけるケースを試作した。この加速度ロガーを用いて秋田県北秋田市の阿仁クマ牧場の協力を得て、飼育下のクマに装着し実証実験を行った。得られたデータから、歩行、休眠、食事の3つの行動について3軸の加速度の典型的な周波数や動きを判別できることが明らかとなった。この結果に基づいて、実際のGPS首輪に搭載する加速度センサーの仕様について検討を行った。 また、電源ON-OFF制御を行うことでGPS受信機消費電力の減少を図るとともに、精度の劣化の関係を調べた。今年度は、複数のGPS受信モジュールで、電源のON-OFF制御の効果を調べるために、マイコンによる電源制御を行うための実験環境を整えた。屋外に設置したアンテナを屋内に引き込み、定点観測により実験を行った。並行して、GPS受信機の実験用には、3Dプリンタを利用した樹脂製の防水容器を試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3Gの加速度データからクマの歩行、休眠状態を判別できることが明らかとなった。サンプリングインターバルは実験では50msecに設定したが、SDカードにデータを書き込む間、データ取得がストップすることがわかった。一方でクマの歩行はおおよそ1Hz~2Hz程度の周波数で行われていたため、100msecでのサンプリングが必要となることが示唆された。GPS受信機の電源のON-OFFによる省電力効果は、OFF時の待機電流を小さくすることで、高い効果を得られることを確認した。精度劣化と省電力効果については、有効なパラメタを得るまでには至らなかった。GPS受信機の実験用には、3Dプリンタを利用した樹脂製容器は、水深0.5mの静水下での防水性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
野外で活動しているクマに装着したGPSの活動量データから、スリープによってGPS首輪の機能を休ませるタイミングについてデータ分析を行う。 3G回線を用いたGPS首輪を作成し、活動量センサーとスリープによる電池消耗速度の検証、データの転送について阿仁のクマ牧場で夏に実験を行い、秋に野生のクマが捕まったら、実際に首輪を装着し、放獣しデータ取得を試みる。 電源のON-OFF制御による省電力効果と精度劣化のより詳細な関係性について、測位誤差を5m~100mまでの範囲で段階的に変化させ、精度劣化を許容した場合に、有効なパラメタについて検証する。この実験にはGPSシミュレータを利用することで、同じ受信環境下での異なるパラメタの効果を知ることができる。加えて、オープンスカイの理想的な受信環境と森林内や山岳地帯のような遮蔽物の多い環境での精度劣化の影響について調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験を重ね、問題点を解決する過程に時間がかかったため、全体の機械をくみ上げるのがH26年度の予算での実施となったため。 前年度と同様、実験実施のための物品、旅費(現地での実験・評価、学会発表、研究打合せ)、を予定する。
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