2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
松島 大 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50250668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 玲二 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (80315457)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モンゴル国 / ゴビ砂漠 / ツォグトオボー / 黄砂 / ダスト発生臨界風速 / 熱慣性 / 表層土壌水分 / 植生指数 |
Research Abstract |
平成24年度においては、モンゴル国・ツォグトオボーにおける同年度の春季から秋季にかけての観測データに基づいて、表層土壌熱慣性の試験的な計算を行った。その結果、熱慣性推定値が現地観測による表層土壌水分量と高い相関を示し、本研究で用いている陸面過程モデルの妥当性が改めて確認された。さらに、ツォグトオボー周辺の緯度・経度1度区画の範囲において、夏季から秋季にかけて表層土壌熱慣性分布を計算した。ツォグトオボーが含まれる計算格子における熱慣性推定値は現地観測に基づいた推定値と高い相関を示した。 一方、熱慣性推定値とダスト発生臨界風速とは必ずしも相関を示しておらず、ダスト発生について表層土壌水分条件以外の条件を無視できないことが示唆された。本研究は、その目的の一つとして、ダスト発生臨界風速を熱慣性と植生指数の関数として表現することを挙げているが、土壌水分条件を主に表す熱慣性以外の変数を考慮する必要性を検証することが課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、(1) 陸面過程モデルの改善、及び(2) データ収集、について進めてきた。 このうち、(1)については、観測頻度の異なる複数衛星データについて、計算格子に応じて使用可能なデータを取り込んで計算する方式を実装した。このため、従前よりも多くの計算格子について、データを無駄なくモデルの最適化計算に用いることができるようになった。 (2)については、鳥取大学によるモンゴル国・ツォグトオボーにおける現地観測は順調に行われており、必要なデータを用いて陸面過程モデルによる表層土壌熱慣性の推定、及びその土壌水分量とダスト発生量との比較を行った。モデルに用いる地表面温度など、種々の衛星データ及び地上気象データも順調に取得でき、今後のモデル計算に供する準備ができている。 平成24年度における研究活動は、そのほとんどが研究の目的を達成するための準備に費やされたので、当該年度において具体的に目的は達成されていない。しかし、陸面過程モデルの改良によって、表層土壌熱慣性の計算が大幅に効率化され、試験的な計算結果において概ね現実的な結果が得られた。このため、研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降の研究の推進については以下の通り予定している。 平成25年度においては、モンゴル・ツォグトオボーにおける地上気象観測データ各項目について、前年度に引き続き観測・収集を行う。このデータに基づいて、熱慣性-土壌水分量・植生指数関係式の導出し、ダスト発生臨界風速の解析を行う。ただし、前年度にダスト発生について表層土壌について、水分以外の条件(特に土壌のクラスト化)を無視できないことが示唆されたため、これについても現地観測データによって解析を強化する。さらに、ダスト発生臨界風速分布図の作成について、陸面過程モデルに地表面温度等の衛星データを適用し、研究対象区域について、対象期間のうち2000年代における熱慣性値を計算する。これに熱慣性-土壌水分量・植生指数関係式を適用してダスト発生臨界風速分布図に変換する。 平成26年度においては、ダスト発生臨界風速分布図の作成を継続するとともに、その結果、及び(1)の定常地上気象観測データ(現在天気)を用い、日本に到達するダスト(黄砂)発生域の変動を検証する。さらに、研究総括として、研究成果を取りまとめ、国内外の学会で発表し、主に国際的な学術雑誌に投稿する。また、研究代表者または分担者が所属する機関のウェブサイト、及び成果広報用パンフレットによって、一般にも分かりやすく広報する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
総額 190万円 消耗品費 50万円 内訳:静止衛星データ50万円 国内旅費 30万円 内訳:研究打合せ10万円(千葉工業大学2日間, 鳥取大学2日間)、成果発表20万円(日本農業気象学会(札幌)3日間×2人) 外国旅費 60万円 内訳:調査旅費60万円(モンゴル7日間×延べ3人) 人件費・謝金 20万円 内訳:データ整理・解析補助10万円(2人×10日)、英文校閲10万円(論文原稿1編) その他 30万円 内訳:自動車借上料10万円(モンゴル調査出張(2回)において使用、学術誌投稿料20万円(論文原稿1編)
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