2012 Fiscal Year Research-status Report
ベイズデータ同化技法を活用した全球の森林土壌温室効果ガス吸排出量の新しい推定
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24510025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
橋本 昌司 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (90414490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土壌 / 温室効果ガス / 気候変動 / 全球評価 / モデル / ベイズ / 土壌呼吸 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
森林土壌における二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素ガスの吸排出は、全球規模の温室効果ガス循環に大きく寄与している。今年度は、日本の森林での観測データに基づいてベイジアンキャリブレーションを利用して構築されたデータ指向型モデルであるSGRモデル(Hashimoto et al., 2011, Ecological Modelling; Hashimoto et al., 2011, Scientific Reports)を全球に0.5°グリッドで適用し、土壌からの二酸化炭素放出量・メタン吸収量・一酸化二窒素放出量を全球推定した。気候データには、CRU3.1を用い、植生データにはEOS-WEBSTERを使用した。土壌のデータにはISRIC-WISEを利用した。今回のシミュレーションでは、それぞれ78 Pg C yr-1、18 Tg C yr-1、4.4 Tg N yr-1となった。またすべてのガスにおいて、熱帯域の寄与が大きく、特に二酸化炭素と一酸化二窒素ガスにおいて寄与率が大きかった。また二酸化炭素と一酸化二窒素では明瞭な季節変化が見られた。データ指向型モデルを用いた独自の全球推定値に加え、既存の報告例も集め、全球の推定値を整理した結果、二酸化炭素放出は79 Pg C yr-1 (変動係数 CV = 13 %, データ数 N = 6)、メタン吸収は 21 Tg C yr-1 (CV = 24 %, N = 24)、一酸化二窒素放出は7.8 Tg N yr-1 (CV = 38%, N = 11)であることが明らかになった。ただし、一酸化二窒素に関しては、明らかに大きな値を示した初期の推定値を除いた場合、6.6 Tg N yr-1 (CV = 22%, N = 9)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、今回構築予定のモデルのプロトタイプとも言えるモデルを全球に適用して、全球評価を行った。これによって、シンプルなデータ指向型モデルを全球に適用するプラットフォームが整った。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、土壌呼吸(土壌二酸化炭素フラックス)の全球データセットを基にモデル化を行い、全球推定を行う。同時に、メタンフラックスのデータベース構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データセット構築のために、非常勤職員を雇用する。モデリングについて、海外の研究者と意見交換を行うため海外渡航する。論文発表のため、英文校閲を利用する。
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