2013 Fiscal Year Research-status Report
寒冷域に生育する森林生態系炭素循環の環境変動に対するレジリエンスの定量化
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24510029
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
戸田 求 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (40374649)
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Keywords | 北方域森林生態系 / 逆推定解析 / 二酸化炭素フラックス / 光合成モデル / レジリエンス |
Research Abstract |
本研究では,冷温帯から亜寒帯に生育する寒冷域の森林生態系を対象に,炭素循環の年々変動を制御する植生動態(生物)要因と環境(非生物)要因の不確実性評価を行うため,生態系モデルを用いたベイズ逆推定解析を行うことを目的としている。また,同解析で得られた生物・非生物パラメータと生態系モデルを用いて,環境変動に対する各々の森林生態系炭素循環のレジリエンス(復元性,弾力性)の定量化を試みることも目的としている。 これまでの研究の中で,対象とする日本(北海道)の森林サイトおよびドイツの森林サイトについて解析を行い,環境の年々変動に伴う生物要因の年々変動の不確実性を統計的に評価できた。今後は北米の森林生態系を対象として同解析を進め、当初の研究目的である,北方林の冷温帯域に見られる生物・非生物変数の地域間差異を検出し,取りまとめを行っていくこととなる。さらに,森林生態系炭素循環の環境変動に対するレジリエンスの定量化を行うにあたり,今後の冷温帯域で想定される撹乱(主に風害)や昇温化に伴う影響評価を行い,対象森林の炭素循環変動にどのような影響が生じるか,またどのレベルまで環境変動が進行した場合,森林が現在有する炭素循環の動的平衡状態への復元が可能か(不可能か),についてとりまとめることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題とする生態系のうち、統計モデル解析が3地点終了しそれぞれの特性を取りまとめる段階にある。一方で,北米の研究者の異動などがありコンタクトが滞り,同地域の解析作業が進んでいなかったが,これらについては今後,進めることが可能である。一方で,本研究で得られた成果の一部は,寒冷域の生態系応答に関する文献の中で触れ,現在査読中(最終段階)にある(戸田, 2014a; 戸田他, 2014b)。 戸田求:地球環境変動の生態学 (分担執筆),共立出版, 2014, 80-104. 戸田求, 横沢正幸,原登志彦, 環境変動と北方林生態系応答.
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象とする森林のうち、北米以外の研究サイトでの統計モデル解析を終え,各環境条件に対する生態系応答の評価を行ってきた。これらについては現在,投稿論文を進める過程にある。残りは北米サイトを対象とした同様のモデル解析計算を行う必要がある。これらを行う上でデータベース上に公開されているデータの収集はすでにできているため,現地のカウンターパートが限定的に保有している植物季節データを入手し,モデル解析に必要となるデータフォーマットを作成することとなる。この作業を終えて後,全対象地域で得られた結果を取りまとめ,気候変動・撹乱を想定したシミュレーションの下での弾力性評価を実施する。
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Research Products
(1 results)