2013 Fiscal Year Research-status Report
宍道湖・中海の水質保全を目的としたピコシアノバクテリア培養株の確立と応用研究
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24510032
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大谷 修司 島根大学, 教育学部, 教授 (50185295)
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Keywords | 汽水域 / 宍道湖 / 植物プランクトン / ピコシアノバクテリア / 大量培養 / 応用研究 / ヤマトシジミの餌 |
Research Abstract |
本研究は宍道湖産ピコシアノバクテリア等の大量培養方法を確立し、培養株の種名の確定やその応用研究を目的としている。平成25年度の概要を以下に記す。 1)藍藻Synechocystis sp., Microcystis ichthyoblabe, Coelosphaerium kuetzingianum, 珪藻Thalassiosira pseudonana, Cyclotella atomus, 緑藻Pseudodictyosphaerium minusculum, Monoraphidium circinaleについて、20℃、12時間:12時間明暗周期の条件でIMK-SP培地(‰)200mlを含む三角フラスコで、静置培養を行い、十分な増殖を確認した。なお、C. kuetzingianumのみCA培地を用いた。その試料をGFFフィルターで濾過し、それぞれの培養株についてカロテノイドの組成と細胞あたりのクロロフィルa量(静岡県立大学、谷共同)とシジミの給餌実験の可能性を明らかにするために炭素と窒素同位体比(京都大学、笠井共同)を求めた。2)シジミの餌に供するために藍藻Synechocystis sp.について4リットルの培養器で大量培養を試み、約1000万 cells/mlまで増殖させることができた。3)Synechocystis sp.とT. pseudonana, P. minusculumの三種類を島根県水産技術センターに分譲し,シジミの餌として大量培養の方法を共同で確立し,笠井氏と共同で餌としての有効性を調べる実験を行った。3種の中では珪藻のT. pseudonanaが餌として最も有効であった。4)Synechocystis sp.は顕微鏡観察で楕円体と球体が混在していることから複数種が混ざっている可能性があり、国立環境研究所に依頼し、クローン化する共同研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度から平成25年度の研究から、宍道湖産ピコシアノバクテリアとその他優占する植物プランクトンの大量培養のための培地、培養条件がほぼ確立でき、島根県水産技術研究センターとの共同でシジミの摂餌実験に用いることができるようになった。また、京都大学笠井氏との共同で培養株の炭素同位体比、窒素同位体比からヤマトシジミの餌としての有効性の研究をおこなうことができた。さらに、ピコシアノバクテリアのSynchocysitsi sp.培養株のクローン化や遺伝子解析を国立環境研究所との共同で開始することができた。静岡大学の谷氏との共同で培養株の色素組成が明らかとなり、宍道湖での現存量の推定に用いる基礎的なデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はピコシアノバクテリアのSynchocysitsi sp.培養株のクローン化や遺伝子解析をすすめる。また、植物プランクトンの単一種を用いてヤマトシジミの摂餌実験を行い、糞、擬糞、消化管内の様子からヤマトシジミの餌としての有効性を検討する予定である。
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