2012 Fiscal Year Research-status Report
日本とアジア各国での大気汚染による健康影響に関する包括的研究
Project/Area Number |
24510033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土居 弘幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20452568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
頼藤 貴志 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (00452566)
津田 敏秀 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (20231433)
鹿嶋 小緒里 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 助教 (30581699)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大気汚染 / 健康影響 / 粒子状物質 / 心血管系疾患 / 呼吸器系疾患 / 肺がん / 低出生体重児 / 早産 |
Research Abstract |
大気汚染による健康影響は甚大であり、アジアでの影響が大きいと考えられている。その為、我々は、国内や東南アジア諸国で大気汚染に関する余剰死亡推計や政策評価、大気汚染の短期的・慢性的影響評価、周産期指標への影響を評価する研究を行っている。 平成24年度は、アジア各国(ASEAN+3)での大気汚染による余剰死亡数推計、国内での大気汚染慢性短期曝露評価・周産期影響評価を行った。具体的には、余剰死亡数推計においては、我々が以前東京都で行った推計法に則り、一年間での粒子状物質曝露による全死亡と心肺血管系死亡・肺がん死亡の予測を行った。必要なデータを記載した研究計画書を各国政府の代表者に送付し、データを電子ファイルで収集し解析を行った。された。 国内の研究では、静岡県の高齢者のコホート(14,000人)を対象に、大気汚染の慢性曝露による心肺血管系死亡への影響評価を行った。9年間の追跡において、交通由来の大気汚染物質による慢性曝露により、全死因死亡、心肺血管系死亡、肺がん死亡が増加していることを示した。また、大気汚染の短期曝露による影響評価として、粒子状物質や黄砂の死亡への関連を中国地域において評価し、両物質とも心肺血管系死亡を増加させていることを示した。更に、静岡県の周産期医療センターで出生した約2万人の児を対象とし、道路近傍に住む母親が早産や低出生体重児を出生しやすいこと、糖尿病や高血圧などの既往がある母親の方が、リスクが高くなることを示した。 今回得られた知見は、日本を含むアジア地域における環境政策に貢献すると思われる。我々が所属する「Regional Forum on Environment and Health」においてアジア各国と共有していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書には、平成24年度の研究計画として大きく次の3点を挙げていた。①アジア各国(ASEAN+3)での大気汚染による健康影響評価(余剰死亡の推計)、②国内での大気汚染の慢性曝露による、より詳細な心肺血管系死亡・疾病罹患への影響の検討、③大気汚染の周産期指標(母体合併症など)への影響の検討。「8.研究実績の概要」で述べた通り、①と②は達成できている。③に関しても、母体合併症そのものへの影響はまだ評価できていないが、母体既往症があると大気汚染と早産や低出生体重児の影響がどのようになるかを検証しており、概ね達成できたものと思われる。更に、中国地域において大気汚染の短期曝露による影響評価を行うことも当該年度には達成できており、研究計画以上のことが出来たのではないかと思われる。その為、「おおむね順調に進展している」と自己評価できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に従い、今後もアジア各国、国内での研究を並列して推進していく。平成25年度に達成しようと考えている内容は、アジアでの短期影響評価、国内での環境政策評価、短期曝露の救急搬送への影響評価、小児期発達評価への準備である。 具体的には、アジア各国での研究としては、我々が以前東京都で行った研究(Yorifuji et al., JOEM 2011)に則り、大気汚染物質(粒子状物質、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾン、一酸化炭素)への短期曝露と全死亡・死因別死亡との関連の評価を行う。必要なデータを記載した研究計画書を各国政府の代表者(主には各国の環境省の局長)に送付し、データを電子ファイルで収集し解析を行う。 国内の研究では、我々が以前評価したディーゼル車排出規制の好影響の検討(Yorifuji et al., STOTEN 2011)を、東京都以外の府県にも拡大し、ディーゼル車排出規制が、実際の大気汚染濃度、結果的には健康にどのように影響を与えているかを検討する。また、岡山県の救急担当部署と協力し、大気汚染の短期曝露と心肺血管系疾患罹患(特に脳梗塞発症)との関連を検討する。その他、大気汚染の小児期発達への影響を評価するために、ある周産期施設と協力し、児の健康・成長・発達を追跡・評価できる方法を確立する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担・協力者との打ち合わせや県外において研究を進めるにあたって国内旅費が必要となる。その他、外国旅費として、アジアでの共同研究先であるソウル大学のある韓国までの旅費、スイスで開催される国際会議出席費用が必要となる。場所は未定であるが、Regional Forum参加の為の交通費も必要となる。 また、大規模なデータを扱う見込みであり、データ入力・整理、研究補助が必要になるため、それに見合う金額を計上した。その他、トナーなどの消耗品費、関連図書の購入費を計上している。更に、本研究に関する成果を公表するための学術論文投稿料等・校正費用も計上している。 平成24年度に予定した研究班会議が、研究協力者の急用により中止になったため、平成25年度早期に研究班会議を行う予定である。
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Research Products
(2 results)