2012 Fiscal Year Research-status Report
rRNA/rDNA比を用いた富栄養湖霞ヶ浦におけるアオコの動態評価に関する研究
Project/Area Number |
24510042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
冨岡 典子 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (40168399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アオコ / M. aeruginosa / rRNA/rDNA比 / 光 |
Research Abstract |
M.aeruginosaの増殖に及ぼす光の影響を明らかにするために、群体形成能を保持した菌株(M.aeruginosa NIES604)及びM.aeruginosaのブルームが発生している湖水について培養実験を実施した。その結果、光の供給量が減少すると、増殖速度が減少する傾向が認められた。NIES604株の培養実験に於いては比増殖速度とrRNA/rDNA比間に関連が認められたが、M.aeruginosaのブルームが発生している湖水中のM. aeruginosaについては認められず、この違いが起こった原因については今後検討が必要である。 また、光環境及び温度環境がM. aeruginosaの春から夏の増殖及び秋の減衰に及ぼす影響の解明のために、霞ヶ浦湖岸に濁度計及び水温計を設置し、測定を開始した。その結果、風向及び風速の変化に伴う濁度の変化が観察され、底泥の巻き上がりを濁度計で検出できる可能性が示唆された。 さらに、夏期及び冬期の湖水及び底泥中のM. aeruginosaのrDNA及びrRNAのクローン解析を開始した。その結果、2010年12月の底泥中のrRNAに多く存在した塩基配列と2011年8月の湖水及び底泥中のrDNAに多く存在した塩基配列が同一である可能性が示された。一方、2011年4月に観察された春のブルームにおけるクローンは2012年8月のクローンとは異なり、底泥中で越冬したM. aeruginosaが翌年6月以降に増加しブルームの種になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
濁度計の設置、解析は順調に推移し、風と濁度の関係を定量化できる可能性が示された。また、底泥中や湖水中のrRNA及びrDNA濃度の解析に併せてクローン解析も開始し、採取時期によりクローンに違いがあり、これにより、ブルームに関与するクローンの挙動が解明できる可能性が示された。この部分については、申請時の予定よりも進展している。一方培養に関しては、湖水の培養を実施することができた。しかしながら、培養実験に於いて、培養株と湖水を使ったデータ間に差異があり、培養株を使った実験の整合性について現在検討中である。これらを総合して、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度から現場でのサンプリングを開始する。静穏日(攪乱における濁度上昇が収まった晴天日)の日の出から日の入りまで、2時間おきに、深さ方向3層について、サンプリングを行い、M.aeruginosaのrDNA・rRNA濃度、細胞数、細胞体積、有機物濃度及び栄養塩濃度を測定する。これにより、ブルーム発生時のM.aeruginosaの挙動を解明できるものと考えている。また、現場試料のM.aeruginosaのrDNA、rRNAについて、クローン解析を行い、クローンの変遷についても情報を得る予定である。 培養実験に於いては、6月~7月の高PAR、比較的低温、8月~9月のPAR減少傾向、高水温を想定して、水温と、PARを変化させ、rRNA/rDNA比と増殖速度に及ぼす影響を検討する。 さらに、底泥表層・湖水のM.aeruginosaのクローン解析を継続し、夏期のブルーム形成クローンの年間の挙動の解明をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年の結果からクローン解析が重要であることが明らかとなった。次年度の研究費は、クローン解析の試薬の購入に使用する予定である。
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