2012 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性の復元・保全のための経済評価:準オプション価値と「絶滅の負債」
Project/Area Number |
24510046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林山 泰久 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20260531)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 費用便益分析 |
Research Abstract |
本年度,本研究では,3カ年に渡る研究計画の初期段階として,基本モデルの構築とデータ収集を 主な成果とすべく,以下の3項目の調査研究を実施した. (1)経済評価モデルの構築:本研究では,既存文献調査結果を整理した上で,Arrow and Fisher[1974]により提唱された,通時的で不可逆的選択における準オプション価値の概念,すなわち,科学研究の進捗によって費用および便益等の情報が確実になるまで待つことの価値を用いて,経済評価モデルを構築した. (2)フィールドにおける生態系に関するデータ収集:次に,本研究では,(1)のモデルに適用するために,東日本大震災の被災地をフィールドとして選定し,次年度研究計画において実施する生態系評価モデルの構築に必要となる現地の生態系を中心とした諸データの収集を行った. (3)ステイクホルダーおよび専門家へのヒアリング調査:本研究のフィールド調査対象地において,農業,漁業および林業等の従事者といった自然生態系に強く依存しているステイクホルダー(地方自治体,NPO等を含む)に対して,震災前後の生物多様性変化に対する様々な事項をアリング調査した.このことにより,データは説明し難い定性的な項目を把握することが可能となった.また,生態系に関する専門知識は,本研究代表者が参画しているグローバルCOEプログラムの生態学者を中心に提供を得るものとした.さらに,本研究では,基礎的な指標が整備されている地方自治体が保有しているメッシュデータを入手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年10月,研究協力者の確保が困難となり,現地調査およびそのデータベース化作業を延期することを判断し,平成25年1月から現地調査およびデータベース化作業を実施する計画に変更したため,調査内容の一部を次年度に繰り越すこととなった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度計画の達成度に伴って,既に,研究協力者を確保しており,平成25年度研究計画は円滑に遂行できる体制を整えた.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実績報告書に記載した繰越金は,既に確保した研究協力者の人件費に充当し,平成25年度当初から現地調査を行う計画である.
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