2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510050
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡邊 幹彦 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00538233)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生物多様性 / 経済的価値 / 名古屋議定書 / 非金銭的便益 / 産業振興 |
Research Abstract |
1 具体的内容: 本研究の最終到達点である「名古屋議定書における期待便益の計測手法の開発」の着手レポートを取りまとめ、生物多様性条約第11回締約国会議(CBD COP11)にて、政府代表団などに対して、レポートを配布するとともに、サイド・イベントでの発表を行った。着手レポートではあるが、進捗があった研究内容の解説を含み、それらは:①金銭的便益の文脈でオプション価値を整理して、期待値の変化を明示的に示すモデルを構築する(試行段階であるがモデルが完成)、②非金銭的便益についての産業連関分析での算出(仮のデータで試算して提示)である。サイド・イベントは大変盛況であり、意義・重要性ともに高い成果、及び、その発表となった。 2 意義: 本レポートと発表は、読み手・聞き手が、実際の条約交渉に関わる締約国政府代表団員である。研究成果の社会への実装を考慮すると、これ以上に重要な成果の社会への還元はなく、大変意義のある実績であると言える。また、本成果発表により、実際の政策担当者から、今後の研究の発展について、意見を収集できた。これは全く別の側面から大変意義がある。 3 重要性等:研究成果を得て、発表する過程で、本研究の重要性が改めて確認された。①名古屋議定書について、生物多様性条約締約国の中で、特に、途上国が情報を渇望している。そのような中で、議定書の重要な要素である金銭的・非金銭的便益について、締約国政府に直接資する研究は、大変重要である。②名古屋議定書は採択されたが、まだ、発効していない。発効のための各締約国の批准を促進するために、条約事務局は、議定書対応に関する行政費用のデータ収集を実施しており、本研究はそれを後方支援する形となっている。この意味で大変重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的達成のための作業は、①便益配分のフレームワーク、②金銭的便益の計測に関するオプション価値、③非金銭的便益の計測に、大きく分かれる。そのための具体的なスケジュールとしては、平成24 年度に基本データの収集、平成25年度に計測を実行、平成26年度に生物多様性条約でのサイドイベントで直接成果の発信を実施するというものである。ただし、成果発信は、前倒しを試みる、というものであった。 結論として、26年度を待たずに、研究成果を盛り込んだ着手レポートを、生物多様性条約締約国会議のサイドイベントにて発表することができた。これは、当初の計画以上に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、大枠では、当初の計画から変更はない。ただし2点特記事項がある。 1 前倒しを行い、平成24年度に研究成果の発表を達成したが、当初の予定通り、最終年に生物多様性条約の場にて、研究成果についての発信を行う。これは、24年度の研究成果は未完成であったこと、及び、複数回発信することは、むしろ望ましいことだからである。条約交渉の場のみならず、学術の場(専門雑誌、及び、学会での発表)での成果発表も当然試みる。 2 産業連関分析による非金銭的便益の算出対象国については、当初の計画に従って、24年度に引き続き、25年度もデータ収集と選定の作業を進めるが、限られた数の国について、詳細な算出をするよりも、算出のための仮定の数値が単純になっても、なるべく多くの国について算出する。というのは、条約会議でのイベント、算出対象国での聞き取り調査により、本研究成果への関心が高く、より多くの国について、算出するのが、社会への成果還元につながると確認されたからである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」が生じた状況であるが、生じた源泉は、旅費(海外出張費)である。これは、本件申請時の為替レートに比して、平成24年度は大幅な円高となったため、航空券が割安となったのが大きい理由である。 次年度(25年度)は、この使用額を、まず、同じ旅費として計上し、継続して、海外での資料収集に使用する計画である。尚、生物多様性条約での関連する臨時会合が予想されているので、予算に余裕がある場合には、ここで成果の発信を行う。また、成果発表を行ったほうが良いと考えられる権威ある学会・シンポジウムがある場合には、条約関連の会議に固執せず、旅費を使用する。 その他の予算の使用については当初計画を踏襲する。設備備品費については、有償書籍及び各種フォーマットの有償統計資料の購入に充てる。消耗品費については、複写費がほとんどである。人件費・謝金については、作業補助者へのアルバイト代と調査対象国での協力者への謝金に使用予定である。
|
Research Products
(4 results)