2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510050
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡邊 幹彦 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00538233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
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Keywords | 生物多様性 / 経済的価値 / 名古屋議定書 / 非金銭的便益 / コモンズ / 地域資源 / 地域開発 / 国際条約交渉 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物多様性条約・名古屋議定書における期待便益の計測方法を開発することである。特に、名古屋議定書が取り扱う遺伝資源へのアクセスと利益配分(略称ABS)に関して、非金銭的便益と呼ばれる便益を産業連関分析によりシミュレーションモデルによって計測し、具体的数値にて示すことである。この目的を達成するために、特に、25年度に予定されていたことは、1、シミュレーション対象国の選定、2、シミュレーションを正当化する内容の整理、3、産業連関表の中のどの分野が影響を受けるかの特定、4、シミュレーションを極力説得力あるものとするための現地データの収集、5、シミュレーションの実施であった。 この中で、1~3は予定通り実施し、26年度に向けて継続して実施する。一方、4~5については、後述理由により26年度にずれこんでいる。申請時には予定されなかったこととして、権威ある国際学会での研究成果の発表、及び、途中までの情報による査読付き論文の発表があるが、この2つを研究実績として残すことができた。 技術的な実績としては、ネパール、パプアニューギニア、サモア、クック諸島、バヌアツなどの具体例を発見し、最終成果への期待につながったこと、サモアの例を通じて、本研究の白眉であるABSと生物多様性の保全の期待便益を結び付けることの正当化が行えたこと、生物多様性条約第12回締約国会議の準備会合ともいえる政府間会合にて、政府代表団の一部に情報発信を行い、研究の社会実装の有効性を確認できたこと、が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に限って言えば、研究進捗の作業自体は、若干の遅れを見せた。遅れを正当化する理由は、研究代表者が8月に体調を崩し、精力的に研究を行える大学の夏季休業期にまとまった作業ができなかったこと、及び、資料収集のために12月に予定されていたタイへの海外出張が現地の治安悪化(反政府デモ)のために延期となったことである。 一方、初年度に前倒しで研究が進捗したことと、本年度にこれまでの成果をもとに、本来は予定されていなかった査読付き論文の出版と国際学会での成果発表を行えた。また、26年度に研究報告を行う生物多様性条約第12回締約国会議の準備会合ともいえる政府間会合にて、政府代表団の一部に情報発信を行えた。 以上を、総括するとおおむね順調という評価が適切である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、25年度に不足気味であったバイオ関連の高等教育・産業動向・政策について、優先的に収集する。この際に、必要に応じてタイ、ベトナムなどへの海外出張を実施する。 第2に、本研究の主眼の1つである産業連関分析のシュミレーションのためのモデルケースとそのシュミレーションの方法の理論的正当化を進める。 第3に、本年10月韓国にて開催される生物多様性条約第12回締約国会議にて、ここまでの成果を、条約への政府代表団に対して発信する。 第4に、会議での反応と海外出張での情報収集を適宜追加して、最終的な非金銭的便益の計測と期待便益の計測のフレームワークをまとめる。 研究の作業はこれで終了だが、ここまでの成果をもとに、本年度から来年度(延長予定である)査読付き論文による成果発表を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理由は大きく2つある。1、研究代表者が、8月に体調不良となり、まとまって研究作業及び海外出張のできる大学の夏季休業中に作業ができなかったこと、2、12月に資料収集のために予定していたタイへの海外出張が、現地の政情不安による治安の悪化により出張を延期せざるを得なかったことである。これらの作業・出張によって消化が予定されていた予算が次年度繰り越しとなった。 現在、研究代表者は通常業務を行っており、研究遂行は問題なく、出張先の状況を見極めつつ、延期された出張を実施する予定である。出張候補地は多数あり、特に問題はない。
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Research Products
(3 results)