2014 Fiscal Year Research-status Report
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24510050
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡邊 幹彦 山梨大学, 総合研究部, 教授 (00538233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 名古屋議定書 / 遺伝資源 / 技術移転 / 人材育成 / 地方開発 / 貧困緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載された、研究の目的「『名古屋議定書』における生物遺伝資源の期待便益の計測手法の開発」、及び、当該年度に実施予定であった、「その計測結果を国連生物多様性条約締約国会議 (COP)の場で発表する」については、本来の予定通り達成した。ただし、不可抗力による研究期間の延期により、計測の精度が80~90%程度であったため、研究を1年間延長して、精度を高めた成果を論文などの形で、発表する予定である。(後述) 目的については、すでに達成済みである。論理的フレームワークについては、準オプション価値を中心に文献サーベイにより整理して、主に、2012年のCOP11にて発表済みである。また、産業連関分析による便益の計測については、2カ国を対象に実施して、当該年度にCOP12にて発表済みである。どちらの研究成果も、国連生物多様性条約の公式ウェブサイトにおいて、ペーパー、発表パワーポイント資料、発表の動画ともに公開されており、各国の政策担当者を中心に、内容が参照できるようになっている。COP11においては、会議への政府派遣団員の聴取者が多く、研究成果の社会的実装が非常に高い成果発表となった。 内容については、名古屋議定書による非金銭的便益(特に、技術移転)により、貧困緩和への影響(ネパールの例)、及び、生物多様性の保全への貢献(ベトナムの例)が予想以上に大きいことがわかり、有意義な成果が得られた。また、会議参加自体、他のシンポジウムからの情報収集により、生物多様性の経済的価値に関して、Eco-DRR(生態系の保全による減災)の評価が急速に高まっていることがわかり、今後の研究の発展への方向性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
区分としては、やや遅れているである。1年間の事業延長の申請を行い、それが受理された。遅れの理由は、調査対象国の1つであったタイのバンコクにて、突発的なクーデターがあり、治安を考慮して現地調査を延期したことにより、ここから得られたであろうデータを基にした予定が後にずれたことである。 ただし、その後、現地調査は実施でき、前述のように、本来の目的の調査発表は終了した。ただし、当初計画された出張による訪問先数に比して、延期後の出張による訪問数は減ってしまったため(延期した間に、担当者が異動となった)、情報に一部不足が発生し、技術的な観点から見た達成度は、80~90%である。端的には、タイに関する計測を実施せずとも研究は完遂する。ただし、せっかくなので、これまでの情報を生かし、適宜追加の調査・研究を実施し、よりよい形での研究計画達成を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1 すでに成果は整っているので、これを精緻化するための追加のデータ収集作業を行う。場合によっては、短期の海外出張を実施する。精緻化のデータについては、まず、ベトナムについて、薬草が重要な遺伝資源、及び、名古屋議定書の対象となりうるので、これに関連したエコツーリズム、及び、生物多様性保全との関連についてデータ収集を実施する。ネパールについては、ネパールと実際に名古屋議定書のルールに基づいた研究を実施している当事者(在日本)からヒアリングでの情報収集を実施することを検討する。タイについては、シミュレーションの対象について改めて検討する。 2 権威ある学術雑誌への投稿の作業を行う。 原稿作成に加え、プルーフリーディングの依頼作業などを行う。 3 仮に、権威ある学術雑誌にて受理されなくても、成果品を国連生物多様性条約公式ウェブサイトのCEPA(Communication, Education, Public Awareness; コミュンケーション、教育、社会への啓蒙)のコーナーにて閲覧できるようにして、研究成果の社会への実装を行う。学会発表については、現時点では考えていないが、学術雑誌の投稿を優先し、余裕がある場合は、検討する。
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Causes of Carryover |
平成25年度に、海外出張を予定していた。この情報を最終研究成果に盛り込む予定であった。しかし、出張先であったタイ・バンコクにて、出張直前に、クーデターが発生し、治安の関係上、出張を延期した。翌年、治安が安定してから、出張は実施できたが、25年度に予定した出張先すべてからは情報が得られず、それにより、①出張期間の短縮とそれにともなう経費の縮小、②最終成果品の制作の延期、が発生し、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終成果品の延期といっても、本来の研究は滞りなく実施され、80~90%の成果は得られている。残り10~20%を実施して完遂すべく、①情報を補填する出張、②学術論文への投稿のための諸費用、③これらの作業補助員のための謝礼金などに使用する。
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Remarks |
University of Yamanashi & University of Nagoyaと書かれた箇所で、 “Framework on estimating expected benefits through facilitating the Nagoya Protocol on Access and Benefit-Sharing: Interim report”という発表タイトル。
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Research Products
(2 results)