2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全、多様な選好、長期の時間軸の3要素を統合する市町村森林計画手法の開発
Project/Area Number |
24510055
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
高橋 卓也 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20336720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 進 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70204146)
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (00401307)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 森林計画 / 最適化 / マルチ・エージェント・シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
最適化手法による森林計画およびシミュレーションによる森林計画を滋賀県多賀町を対象として実施した。 最適化手法による森林計画については、整数計画法を用いて、多賀町のスギ林を対象とし、様々な制約適用下における木材生産最大化を試行した。具体的には、水源涵養機能が高い小林班、土砂災害防止機能が高い小林班、土砂災害防止機能が高い小林班、生活環境保全機能が高い小林班、保健レクリエーション機能が高い小林班のそれぞれを伐採しない、という制約を掛けたうえで最適化を行い、どのように最適解が変動するかを観察した。たとえば、水源涵養機能の高い小林班の伐採を禁じる制約を掛けた場合には、制約なしベースラインにおける解と比較して、27%の伐採量にとどまることを再確認した。 シミュレーションによる森林計画については、LANDIS-IIを利用して試行した。LANDIS-IIは生態学への適用を主な目的とするマルチ・エージェント・シミュレーションのプラットフォームである。また、林分単位での生態学モデルJABOWA4の併用も試みた。その結果、LANDIS-IIの伐採モジュールについては、日本の森林管理に対応した改善策を提案することができた。 最適化手法を展開した森林の環境機能の販売の試行がアメリカ合衆国ワシントン大学演習林などで行われている。森林計画の活用を通じた、森林管理を社会で支える手法について、本研究では手がかりが得られたことから、科学研究費(基盤(B) 平成27年度~平成30年度)に採択された「社会が支える森林管理を実現する手法開発のための基礎研究」においては、より具体的に日本の社会経済条件に適した森林計画、意思決定、費用負担、ガバナンスの方法について、理論的かつ実証的に研究を進める計画である。
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