2013 Fiscal Year Research-status Report
気候変動における漁業や漁村社会の適応力向上対策づくり
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24510057
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
まくどなるど あん 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (80625012)
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Keywords | 海女さん / 気候変動 / 適応力 / 漁業権 / 適応策 / 入り会い |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、海女さんへの季節ごとに聞き取り調査を行った。具体的には、季節ごとにどのような活動を行うのか、年々海女さんの活動には変化があるのかについてのインタビュー調査を行った。本年度は、幅広い対象者に聞き取り調査を行うことができ、1年目より深みのある研究となった。季節ごとにどのような変化があるのか、海女さんの活動自体にはどのような変化があるのかを明らかにするために、インタビュー調査を行っている。本年は、海女さん約80名に調査票を渡し、記述・回答を得ることができた。 このデータは本年度の一つの成果である。 本研究の成果については、外部での報告も積極的に行っており、その実績は以下の通りである。昨年度は、フランスで開催した世界海洋保護区域の国際会議で、伝統知識小規模漁業を対象とする研究成果を発表した。また、生物多様性条約事務局と国連の食糧農業機関の共同で開催しているSUSTAINABLE OCEAN INITIATIVE の環境エクスパートとしての講義を行った。世界農業遺産のプロジェクト中での漁業のポテンシャルに関するスコーピングペーパーでは、海女について記述した。IPCCの第五次評価報告書の政府レビューエクスパートとして、レビュー業務と、IPCC総会の日本代表のエクスパートアドバイザーとして、秋と春に開催した総会に参加した。石川県では海女文化を無形文化遺産にしようとしている中で、そのアドバイザーを務めている。これによって本研究の成果を生かすことができていると考えている。また、水産庁による水産資源の持続利用に向けた海洋保護区検討会の検討委員を務め、一つの事例として舳倉島の事例を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間の三年間では、気候の変動が少ないため、その変化を明確につかみにくいという問題が残された。二年目は、舳倉島の協力がうまくいった一方で、通い海女へのインタビュー調査は難しかった。このようなインタビュー上の困難性は、毎年の課題となっている。今年度は、磯入り組合長とあままち自治会の政治的な問題によって、約束していた協力が得られず、最終的にインタビュー調査の実施が、困難を極めることがあった。昨年と同様の問題ではあるが、海女さんには高齢者の方も多く、調査票による回答を得ることが難しい場合は、代筆によって回答を得るなど、時間と手間のかかる作業であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、フイールドワーク調査の対象であるコミュニテイ内での分裂・紛争があったため、それによってインタビュー調査が難しい時期があった。しかし、3月にはそういった政治的な問題が落ち着いた結果、約68人の海女さんへの聞き取り調査を行うことができた。今後は、海女さんへの聞き取り調査をさらに深堀りし、また対象とする海女さんの人数を増やしていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額については、次年度の為のフィールド調査のために経費を留保する必要があったためである。 次年度については、平成26年度のフィールド調査にかかる費用として、主に使用する予定である。主なフィールド先である石川県舳倉島への旅費が大半を占めると想定される。
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