2013 Fiscal Year Research-status Report
生命地域を基礎とした持続可能な開発のための教育(ESD)のモデル構築に関する研究
Project/Area Number |
24510060
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古澤 礼太 中部大学, 中部高等学術研究所, 准教授 (70454379)
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Keywords | 持続可能な開発のための教育 / ESD / 生命地域 / 流域圏 / RCE |
Research Abstract |
研究2年目である平成25年度は、引き続き生命地域(Bioregion)やそのひとつとしての流域圏(Watershed)を基礎とした、持続可能な開発・発展のための教育(ESD)のモデル形成に関する研究を行った。愛知県・岐阜県・三重県で活動する中部ESD拠点(国連大学認定RCE)の活動の中でも、特に、生命地域である伊勢・三河湾流域圏を対象地域として実施されるESDの普及・実践に対して参加型調査を行った。本年度は、次年度の国連「ESDの10年」最終年に向けて、愛知県で開催される「ESDに関するユネスコ世界会議」をターゲットに、開催地のESD推進モデルづくりが行われており、その構築過程を調査した。 伊勢・三河湾流域圏における生命地域を基礎単位とするESDの推進手法としては、中部ESD拠点協議会が、昨年度から実施している「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」を今年度も実施し、筆者はその企画・運営を行うと同時に参加型調査を行った。 また、ESDの国際的ネットワークを活用した、生命地域を基礎とするESDモデルを国際社会における主流化に関する調査は、ガーナ共和国におけるESDプログラム(ESDA: Education for Sustainable Development in Africaなど)の調査や、国連大学ESD地域拠点(RCE: Regional Centres of Expertise on ESD)会議やユネスコ総会への参加を通して、また、筆者が主催した流域圏ESD研究会等における議論を通して情報収集や情報交換を行った。これらの成果は次年度以降に期待されるが、研究期間内には、流域圏を基礎単位としたESDの推進に関する報告書を中部ESD拠点協議会から発刊した他、学会等で成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度に引き続き、概ね順調に研究が進んだ。地域内では伊勢・三河湾流域圏を対象地とした「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」を実施し、12流域圏計36か所でのESD講座を開催し、参与観察を行った。また、国際的には、アフリカ・ガーナ共和国において調査を行い、現地におけるESDプログラムに関する情報収集や、生命地域を対象地としたESDの推進手法に関して現地の研究者やステークホルダーと知見の交換をおこなうことができた。 また、本調査対象地である東海地域、愛知県で2014年11月に「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催されることを受け、地域内におけるESDの知名度も上がってきた。ESD活動への参加者の増加や、ESDに関する講演会やシンポジウム等の機会も増えたため、多様な主体の参加による多様な側面から、本研究対象である流域圏に関わるESDの検討および考察を行うことができた。 具体的には、中部ESD拠点内に①主体別分科会(高等教育/学校教育/企業とNPO)、②テーマ別分科会(国際協力/伝統文化)を発足させ、③伊勢・三河湾流域圏ESD講座と相互に連携を取りながら、東海・中部地域における流域圏を基礎単位としたESD推進モデルを構築中である。また、今年度は、「流域圏ESD研究会」を発足させ、地域内外の視点から当該テーマの研究を進めることができた。 、
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、国連「ESDの10年」の最終年となるため、各種の総括会議等が開催されることが予想される。本研究においても、生命地域や流域圏を対象地としたESDの推進手法を確立し、国際社会における主流化をめざす中部ESD拠点(RCE Chubu)の活動に引き続き着目し、筆者は当該団体の運営に携わりながら参加型調査を行う。 地域内では、3年計画で進めている「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」を継続し、11月に開催される「ESDユネスコ世界会議」までに100講座を実施し、流域圏内の課題とその解決に向けて活動を行う教育機関、企業、NPOなどの情報収集を行う。また、流域圏の諸課題に関する情報を基礎に、伝統知やものづくりなど、地域の特色を考慮しつつ、持続可能な地域づくりのための人づくりとなる教育プログラムの開発を検討する。これらはESDの「中部モデル」として「ESDユネスコ世界会議」において、国際的に発表することが目標とされているため、その実現に向けた中部ESD拠点の活動を引き続き参与観察する。また、最終年度は、昨年度に発足させた「流域圏ESD研究会」を定期的に開催し、国際会議も実施する予定であり、年度末には研究成果をまとめ、公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の当初予算執行計画に比べ、執行実績が低かった理由に関しては、当該年度に実施した研究会において海外から招へいする予定であった研究者が、別件で自費で来日したために、当研究費からの執行の必要性がなくなったなどの理由があった。また、来年度に愛知県において「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催されるため、その時期に合わせて国際会議を開催する計画を立案中であり、本研究助成金を充当することとしている。このため、今年度の経費の支出を抑え、来年度の研究活動に充当する予定である。 最終年度となる平成26年度は、国際会議を含め、流域圏ESD研究会を複数回開催し、流域圏ESDモデルの構築に関する研究を行う。また、対象地域でる東海三県内の移動旅費は言うに及ばず、地域内外における打ち合わせや調査のための出張旅費として助成金を使う予定である。また、ESDユネスコ世界会議後のフォローアップ調査のために海外出張を予定しており、旅費として充当する。研究終期には報告書を作成するための印刷費も必要となる。
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