2014 Fiscal Year Annual Research Report
核分裂中性子の胎児期変異原性と関連毒性に関する研究
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24510075
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤川 和男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90247958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 哲二 近畿大学, 理工学部, 教授 (30351563)
加川 尚 近畿大学, 理工学部, 講師 (80351568)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核分裂中性子 / 変異原性 / マウス胎児 / 染色体異常 / 小核 / 生物学的効果比 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は胎児の未熟赤血球における小核形成を指標として核分裂中性子とX線の染色体異常誘発効果を検討した後、初年度と次年度の成果を含めて本研究の総括を行った。 原子炉放射線(核分裂中性子とγ線の混合放射線)の照射実験は、今年度中の本学原子炉の運転中止のため、昨年度に前倒しして実施し、今年度はX線照射実験を行った。原子炉放射線照射と同様に、X線照射はICR系統のマウスの胎齢15日に行い,末梢血のアクリジンオレンジ染色標本の作製は照射後1日あるいは2日に行った。全照射実験で使用した妊娠マウスの総数は16個体、各妊娠マウスから任意に選んだ4個体の胎児を小核試験に供した。胎児1個体あたり2000個以上の未熟赤血球を観察して、小核を検出し、同胞4個体の小核頻度の平均値を各妊娠マウスの代表値とし、各サンプリング時期のそれぞれの線量で2つの小核頻度を決定した。 対照以上の小核の有意誘発は、照射1日後でも2日後でも原子炉放射線で使用した線量(0.2、0.4、0.8Gy)のすべてで認められた。一方、0.25~1Gyの4線量で行ったX線照射の有意な効果が2つのサンプリング時点でともに認められた線量は、0.75Gyと1Gyに限られた。原子炉放射線照射実験においてもX線照射実験においても、小核頻度のサンプリング時期依存性を示す証拠は認められなかったので、サンプリング時期を無視して、線量ごとに4つの小核頻度の平均値を求め、その値に基づいて、回帰分析を行った。その結果、X線量と小核頻度の関係は、二次モデルに従うことが明らかになった。一方、原子炉放射線の線量効果関係は非閾値直線モデルによくフィットした。原子炉放射線に混在している低線量率(3mGy/min)γ線の小核誘発への寄与を無視すると、核分裂中性子のX線に対する生物学的効果比は、誘発頻度2%では3.9、1%では5.4となった。
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Research Products
(2 results)