2013 Fiscal Year Research-status Report
二つのKu80に依るパラダイムシフト:ヒト放射線誘発DNA損傷応答機構の新モデル
Project/Area Number |
24510077
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小池 学 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (70280740)
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Keywords | Ku80 |
Research Abstract |
低線量放射線の人体への影響の解明は喫緊の課題である。放射線により誘発されたDNA二本鎖切断(DSB)が非相同末端結合 (NHEJ) 機構で修復されると突然変異や発がんの原因になりうる。Ku(Ku70/Ku80)はNHEJ機構に不可欠な修復蛋白質である。これまでNHEJ機構のモデリングは主に齧歯類やニワトリの細胞を材料に行われてきたが、ヒトとこれら生物種では修復機構の選択等に相違がある。例えば、ヒト細胞ではこれら生物種には存在しないもう一つのKu80が発現してNHEJ機構の活性調節をしている可能性が報告されている。本研究では、放射線生物学と先端生命科学技術により2種類のKu80の機能を比較し、ヒトのDSB修復機構を含むDNA損傷応答機構の新たなモデルを提示することを目指す。もう一つのKu80(KARP-1)とKu80の機能を比較解析するために、KARP-1遺伝子が無い齧歯類細胞を親株に、(1)「KARP-1発現Ku80欠損細胞株とKu80発現KARP-1欠損細胞株」を作出する。これまでに、私達はGFP標識ヒトKARP-1発現xrs6細胞株(KARP-1発現Ku80欠損細胞株)を樹立した。また、同様の方法により、各種の変異を導入したKARP-1を発現する細胞株を新たに樹立するために、遺伝子工学技法により、プロモーター(CMV)の下流にGFP融合KARP-1変異遺伝子を連結した発現ベクターを構築してきた。そして、xrs6細胞に一過性に遺伝子導入を行い、細胞内の発現と局在を調べてきた。その結果に基づいて、GFP融合Ku80発現Ku80欠損細胞株とKARP-1発現Ku80欠損細胞株を材料に細胞周期依存的変化を比較するための解析法を構築した。さらに、ヒト細胞でのKARP-1の機能を解析するために、ヒト細胞を材料とする実験を開始した。また個体レベルで機能を解析するためにKARP-1発現マウスの作製と解析法の準備を進めている。内在性のKu80との競合を避けるために使用するKu欠損マウスの準備は順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KARP-1導入細胞株の解析、作製した抗体の特異性の確認等はほぼ順調に進んでいる。一方、KARP-1発現マウス作製の準備は、遅れが生じている。具体的には、マウスを作製し飼育する専用施設で感染症の問題が生じたために、10月以降通常の体制での動物実験が困難になったために遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、24年度から進めているKu80欠損細胞株を材料とする実験を進める。さらに、ヒト細胞でのKARP-1の機能をKu80と比較解析するために、作製した特異抗体を用いた実験等を進める。また、個体での解析を行うためのモデルマウスの作製と解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスを作製し飼育する専用施設で感染症の問題等が生じたために、10月以降通常の体制での動物実験が困難になったために遅れが生じた。 計画に沿って、使用する予定である。尚、繰り越した分は平成25年度に遅れを生じたマウスを利用する実験等を進めるために使用する予定である
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