2014 Fiscal Year Annual Research Report
二つのKu80に依るパラダイムシフト:ヒト放射線誘発DNA損傷応答機構の新モデル
Project/Area Number |
24510077
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小池 学 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (70280740)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Ku80 |
Outline of Annual Research Achievements |
低線量放射線の人体への影響の解明は喫緊の課題である。放射線により誘発されたDNA二本鎖切断(DSB)が非相同末端結合 (NHEJ) 機構で修復されると突然変異や発がんの原因になりうる。Ku(Ku70/Ku80)はNHEJ機構に不可欠な修復蛋白質である。これまでNHEJ機構のモデリングは主に齧歯類やニワトリの細胞を材料に行われてきたが、ヒトとこれら生物種では修復機構の選択等に相違がある。例えば、ヒト細胞ではこれら生物種には存在しないもう一つのKu80が発現してNHEJ機構の活性調節をしている可能性が報告されている。本年度はもう一つのKu80(KARP-1)がヒト細胞で発現している可能性を検証しKu80の機能を比較解析するために、昨年度までに作成した抗ウサギKARP-1抗体とKARP-1を認識する可能性がある既存の複数のKu80抗体を用いて、ヒト正常細胞、がん細胞、KARP-1導入発現細胞を材料に解析を進めた。また、個体レベルで機能を解析するためのモデルマウスを作成するために、KARP-1発現マウスの作成を進めた。その結果、KARP-1に特異的な領域を導入したGFP融合型KARP-1(1-88)遺伝子導入マウスが得られた。また、昨年度から作成を進めたKu欠損マウスから得られた複数のヘテロマウスについて繁殖能を確認し、系統化した。これらの遺伝子改変マウスは、放射線誘発DNA損傷応答機構の個体レベルの解析に役立つことが期待される。
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