2013 Fiscal Year Research-status Report
廃プラスチックのケミカルリサイクルのための水素移行型分解触媒およびプロセスの開発
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24510090
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
上道 芳夫 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90168659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 康晴 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70447085)
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Keywords | プラスチック / リサイクル / 触媒 / 化学原料 / ガリウムゼオライト / 亜鉛ゼオライト |
Research Abstract |
廃プラスチックの約70%を占める炭化水素系プラスチック(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS))を混合物のままGa/H-ZSM-5触媒を用いて有用な芳香族系石油化学原料へ分解するケミカルリサイクル技術の開発研究を行った。まず,PSを含む場合に問題となる触媒上へのコークの析出を抑制する方法とそのメカニズムを検討した。水素気流中でPSの分解を行うとコーク析出量が減少することから,コーキングの抑制に水素が有効なことがわかった。しかし,水素気流中ではPPからの芳香族生成そのものが抑制された。したがって,PS/PP混合物の反応において外部から水素を添加するのは得策ではなく,PP由来水素を利用して芳香族収率を低下させることなくPSのコーキングを抑制するのが有効なことが明らかになった。このポリオレフィン水素を利用する方法は様々な応用展開が可能と考えられる。次に,PPの分解で生じる低級炭化水素の影響を検討するためにプロピレン共存下でのPSの分解を行ったところ,コーキング抑制効果は明確ではなかったが,プロピレンから生成する芳香族の組成がPPの分解生成物の組成と異なることがわかった。このことは,プロピレン経由の芳香族化はPPの分解における主要な芳香族生成経路ではないことを示唆しており,PPの分解反応機構に関する新たな知見が得られた。さらに,プラスチックの分解生成物中のパラフィンと芳香族の比をコーキングの程度を評価する指標として触媒の探索を行ったところ, Zn担持H-ZSM-5がコーク析出量の少ないプラスチック分解触媒として有望なことを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,炭化水素系プラスチック混合物の分解において,PSに起因するコーキングを抑制する方法の開発とその機構の解明,および高活性触媒の開発である。コーキングの抑制については,反応系に外部から水素を添加するのではなく,PP由来水素を利用するのが有効なことを明らかにした。さらに触媒開発では,Znゼオライト系の新規触媒を見いだしている。これらのことから,研究はほぼ順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から検討しているZn系分解触媒の開発研究を継続する。具体的には,様々な炭化水素系プラスチックの反応に対するZn触媒の特性を明らかにし,高性能化のための触媒調製法について検討する。同時にGaゼオライト系触媒によるPS/PP混合物の分解のより詳細な反応機構を明らかにするため,モデル化合物としてPSとPPの一次分解フラグメントを用いた反応における水素の効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はHe,H2,N2などの充填ガスを20本使用した。毎月1~2本のペースで充填ガスを新規購入することになるが,ヘリウムおよび窒素ガスを使い切って新規購入する時期が若干ずれて平成26年度に入ったため,ヘリウムおよび窒素ガス各1本分に相当する40,286円が平成25年度の次年度使用額として残った。 次年度使用額は平成26年度の充填ガス購入に充当する。なお,当初の平成26年度研究費の使途に変更はなく,主に充填ガス,ステンレスバルブ・ジョイント類,試薬類などの消耗品費と旅費として使用する。
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Research Products
(7 results)