2012 Fiscal Year Research-status Report
生態系の物質循環特性に基づく都市緑地の「自然らしさ」の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
24510092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 輝昌 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (20291297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物質循環 / 都市緑地生態系 / 自然らしさ |
Research Abstract |
緑地生態系への人為の影響を把握する一環として、米国ワシントン州シアトル市内の緑地において、土壌に人為的に敷きならされた有機物(ウッドチップ)の分解特性と、土壌の性質の変化を調査し、以下の知見を得た。 土壌に敷きならされたウッドチップの量(重さ)は、敷きならし後4年程度で半減し、敷きならし後13年で1割程度にまで減少した。これらの値は東京で行われた既往の研究での値に比べてかなり低い。 ウッドチップの敷きならしによって、緑地土壌の炭素含有量は増加した。また、ウッドチップが土壌に混入することで、土壌の密度が低下した。それらの変化の程度は一様ではなく、緑地の地形や植生によって変動することが考えられた。人為的な有機物添加は、土壌の性質を変化させ、各種生物の量や活性を変化させることで、生態系の物質循環特性にも影響を及ぼすことが推測された。 都市域では、緑地の物質循環特性が、人為によって比較的容易に変動しうることが明らかになった。今後、緑地の「自然らしさ」を物質循環特性から評価しようとする場合、自然緑地で得られた知見だけでなく、緑地を取りまく環境や人為の影響の程度も考慮した評価法を考案する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
都市緑地の「自然らしさ」の評価基準となる、安定した自然緑地生態系での測定を行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(平成25年度)に、生態的に安定した自然緑地での物質循環特性を把握するための調査を行い、緑地の「自然らしさ」を評価する際の評価基準を作る。 今年度から来年度にかけて、都市域に造成された樹林地において、簡易な物質循環特性の調査を行い、「自然らしさ」の評価を試みる。その際、昨年度に得られた、都市域の土壌における有機物の分解特性に知見を加味した評価方法についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度(平成25年度)の研究費と昨年度に使用しなかった研究費を併せ、葉面積測定装置を購入する。この装置は、計画では昨年度に購入されるはずであったが、購入されなかった。今年度に、より性能の高い機種に変更して購入する。 そのほか、調査旅費、試薬やガラス器具等の消耗品、調査・実験補助の謝金等として使用する。 申請者は昨年度に研修のため海外に滞在しており、滞在先で当初の計画どおりの研究を行えなかった。このため、研究計画を一部変更した。また、滞在先での研究経費を、滞在先の機関にすべて負担していただいたため、科研費の支出がなかった。
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