2014 Fiscal Year Annual Research Report
生態系の物質循環特性に基づく都市緑地の「自然らしさ」の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
24510092
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 輝昌 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (20291297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生態系 / 持続性 / 物質循環 / 自然らしさ / 緑地の評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑地の「自然らしさ」が生態系の持続性にあると考え、生態系の持続性をもたらすしくみである物質循環特性を指標とした「自然らしさ」の評価基準を作成し、都市域に造成された緑地の「自然らしさ」の評価を試みた。都市緑地では調査方法が限定されるため、できるだけ簡易な手法で評価する方向で検討をすすめた。 安定した持続性を有する緑地生態系では、生産者(植物)による有機物生産の活性と、分解者(土壌生物)による有機物を無機物に分解し生産者に供給する活性が一定のバランスを持っているはずである。そこで、安定した物質循環特性を持つと考えられる自然緑地(落葉広葉樹天然林)において、有機物生産のための器官である葉の量(葉面積指数を指標とする)と、土壌中での有機物分解活性の指標である土壌微生物活性(土壌中の加水分解酵素活性を指標とする)の関係を調査した。葉面積指数を生態系の有機物生産活性の指標とすることの妥当性を検証するために、葉面積指数を測定した調査地で土壌に供給される落葉・落枝量も測定した。葉面積指数と土壌への落葉・落枝供給量の関係を把握しやすいように、調査対象地を落葉広葉樹天然林とした。 本法により測定された有機物生産活性と有機物分解活性は、試験地の傾斜が概ね20度未満であれば、比較的高い相関関係にあり、急傾斜地での地表の攪乱の影響を受けることが示された。このことから、比較的平坦な地形であれば、生態系の(植物による)有機物生産活性と(土壌微生物による)有機物分解活性の関係(比)を「自然らしさ」(持続性)の評価基準にできると判断した。 都市域に造成された落葉広葉樹林で、葉面積指数(有機物生産活性)と土壌微生物活性(有機物分解活性)を測定し、両者の関係を自然緑地での関係と比較したところ、有機物生産活性に対して有機物分解活性が低く、両者のバランスがとれていないことから、持続性が備わっていないと判断された。
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