2012 Fiscal Year Research-status Report
廃棄物処分場のライフサイクルにおける鋼製遮水工の建設・維持補修技術に関する研究
Project/Area Number |
24510097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲積 真哉 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90362459)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 廃棄物処分場 / 遮水工 / ライフサイクル / 遮水性劣化 / 漏出リスク / リスク評価 |
Research Abstract |
近年、我が国では都市部の港湾域に大規模な海面廃棄物処分場の建設が増加している。廃棄物処分場は廃棄物に起因する有害物質の封じ込め機能が期待されており、既往の研究において長期的な評価から封じ込め機能を十分達成するという評価が得られている。しかしながら、海面廃棄物処分場は数十年にわたって供用されるにも関わらず、構成部材の劣化を考慮しないまま評価が行われていることから実現象と乖離している可能性がある。本研究では、海面廃棄物処分場において重要な役割を果たす遮水工に着目し、遮水工の劣化を考慮した有害物質の挙動に関して長期的評価を行った。 遮水工の劣化を評価する際には、劣化メカニズムに依存することなく点検データから耐久性を評価する統計的劣化推定モデルの適用の検討を行った。また、点検データが存在しない場合においては劣化促進試験を行うことで、遮水工の劣化推定評価を行った。 得られた遮水工の遮水性能に関する劣化曲線に基づき、海面廃棄物処分場における有害物質の漏出量に関する推定において3次元浸透・移流分散解析を行った。また、海面廃棄物処分場は沿岸部に位置するため処分場内外の水位差による影響を強く受けることから、解析条件による影響を定量的に示した。 また、遮水工の劣化曲線には多くの不確実性が内包されていると考え、統計学的見地から確率密度分布を用いたリスク評価手法の提案を行った。具体的には、3次元浸透・移流分散解析によって得られた結果から海面廃棄物処分場における有害物質の漏出リスクの定量化を行った。上記の手法を採用することで、これまで不明瞭だった海面廃棄物処分場によって発生しうる環境リスクを定量的に示すことが可能となり、環境安定性を保持できる構造の選定や維持補修戦略に関する意思決定基準となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の具体的な目的は以下のとおりであり,本年度は特に(1)を中心に当初の予定通り研究を遂行している。なお,本年度において(2)および(3)についても,着手の段階に入っている。 (1)廃棄物処分場のライフサイクルにおける鋼製遮水工の環境性能評価 (2)H-H継手を施した連結鋼管矢板を用いた鋼製遮水工の現場適用性ならびに長期的な耐久性の評価 (3)廃棄物処分場のライフサイクルにおける遮水・保有水浄化促進型の鋼製遮水工の提案
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の具体的な目的は以下のとおりであり,本年度の成果をより高度化させ,今後は(2)および(3)を重点的に進めていく予定である。 (1)廃棄物処分場のライフサイクルにおける鋼製遮水工の環境性能評価 (2)H-H継手を施した連結鋼管矢板を用いた鋼製遮水工の現場適用性ならびに長期的な耐久性の評価 (3)廃棄物処分場のライフサイクルにおける遮水・保有水浄化促進型の鋼製遮水工の提案
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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