2013 Fiscal Year Research-status Report
微生物を活用した、環境調和型 Waste-to-Energy プロセスの構築
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24510101
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 克彦 山口大学, 農学部, 准教授 (30333660)
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Keywords | 微生物 / セルラーゼ / キシラナーゼ |
Research Abstract |
セルロース系バイオマスは地球上で最も多く発生する生物系廃棄物であるが、普及を期待できるような資源化法が見出されていない。申請者はこれまで、セルロース糖化に利用可能な微生物を本州、北海道、沖縄で探索し、セルロースのみならず、ヘミセルロースやリグニンにも分解能も併せ持つ微生物を分離した。そこで本課題では、これらの分解微生物と油脂生産酵母、炭化水素生産微細藻類、およびPHA 生産細菌(以下、燃料微生物と呼称)を併用し、セルロース系バイオマスからバイオ燃料を生産する“Waste-to-Energy”プロセスを開発する。 本年度は『CB糖化からバイオ燃料の生産が可能な、混合培養の微生物組み合わせ』を見つけることを目標に研究を行った。具体的には、オガクズ粉末を含む培養液をフラスコに調製し、研究室保有のセルロース分解糸状菌と燃料微生物(酵母)の各種を加えて培養することで、両者が同一フラスコ内でともに生育するか検討した。しかし実験の結果、いずれの組み合わせでもセルロース分解糸状菌が優占的に増殖し、酵母の生育は完全に抑制されている状態が観察された。糸状菌には他種微生物に対する抗菌物質を分泌するものが多く知られており、研究室保有の糸状菌も酵母に対して何らかの生育阻害物質を出していることが示唆された。そこで別種のセルロース分解菌ならば酵母と混合培養できる可能性があると期待し、これを探索した。その結果、Streptomyces属でセルラーゼおよびキシラナーゼを生産する細菌株、ならびにキシラナーゼとキチナーゼを生産する糸状菌株を分離できた。細菌株は同属の新種であり、糸状菌株は既知属種であったが酵素生産能は初めての報告例となることも判明し、学術雑誌に投稿、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べているとおり、新奇種のセルラーゼ・キシラナーゼ生産株およびキシラナーゼ・キチナーゼ生産株を分離することができた。学術論文も2報出版済みであり、学会報告も3件行った。以上から、おおむね達成されていると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は再度、新規に分離されたCB分解菌と燃料微生物の混合培養系が可能かどうか検討する。分解微生物と燃料微生物が同一フラスコ中で混合培養できれば、CB 糖化とバイオ燃料の生成が効率良く進行すると期待される。また分解菌は好気性であることから、酸素を除去した条件で燃料微生物の生育を優位にできないかも検討する。
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[Journal Article] Streptomyces abietis sp. nov., a cellulolytic bacterium isolated from the soil of a pine forest in Hokkaido, Japan.2013
Author(s)
Fujii, K., Satomi, M., Fukui, Y., Matsunobu, S., Morifuku, Y., Enokida, Y.
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Journal Title
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
Volume: 63
Pages: 4754-4759
DOI
Peer Reviewed
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