2015 Fiscal Year Research-status Report
微生物を活用した、環境調和型 Waste-to-Energy プロセスの構築
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24510101
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 克彦 山口大学, 農学部, 准教授 (30333660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セルロースバイオマス / 下水バイオマス / 土壌微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロース系バイオマスは地球上で最も多く発生する生物系廃棄物であるが、普及を期待できるような資源化法が見出されていない。申請者はこれまで、セルロース糖化に利用可能な微生物を本州、北海道、沖縄で探索し、セルロースのみならず、ヘミセルロースやリグニンにも分解能も併せ持つ微生物を分離した。そこで本課題では、これらの分解微生物と油脂生産酵母、炭化水素生産微細藻類、およびPHA 生産細菌(以下、燃料微生物と呼称)を併用し、セルロース系バイオマスからバイオ燃料を生産する“Waste-to-Energy”プロセスを開発する。 本年度は、昨年に得られた土壌DNA抽出液をDGGE解析にかけ、多様なセルロース分解微生物のDNAが細菌および糸状菌ともに回収されていることを確認できた。また、その中にはこれまでセルロース分解能が報告されていない属種も存在することから、培養困難種のWaste-to Energyプロセスへの応用可能性が期待された。さらに、土壌と微生物細胞の剥離の際に高濃度のEDTAを使うと細胞をさらに分画できることがわかった。他方、腐植が地上に較べて少ない海洋底泥よりセルロース分解微生物を探索したところ、カルボキシメチルセルロースおよびアガロースを炭素源として生育できる海洋細菌を分離することができた。16S rDNA解析およびDNA交雑実験より、この株はGilvimarinus 属の未報告種(新種)である可能性が強く示唆され、さらに研究を進めているところである。最後に、昨年見出した消化汚泥分解微生物の酵素液を嫌気消化菌叢に加えて培養したところ、加えない場合と比較して水素の生産が優位に増加した。メタンの場合は、有意差は認められなかったが酵素添加によって増加の傾向はうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べているとおり、抽出された土壌DNAから未報告のセルロース分解微生物の遺伝子の存在を確認できた。。この成果は学術論文として1報が発表され、学会でポスター1件を発表済みである。また、海洋細菌の内容については1報が投稿・審査中、学会で1件をポスターで発表済みである。消化汚泥分解菌の内容については1報が発表され、学会で1件をポスターで発表済みである。以上から、順調に達成されていると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた微生物はいずれもバイオマス分解能を有しており、生物工学的エネルギー生産技術への利用可能性も期待できることから、最終年度にあたる平成28年度は、これらの微生物を用いて廃棄物を資源へと変換するWaste-to Energyプロセスのボトルスケール装置を試作し、その産業利用可能性について検討する。
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