2014 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物における重金属の吸収機構と体内挙動の解明および水圏環境浄化への応用
Project/Area Number |
24510103
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
原田 英美子 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20232845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 名誉教授 (00090457)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | オオカナダモ / 水生植物 / マンガン / バイオミネラリゼーション / セシウム / シアノバクテリア / メタロミクス / ファイトレメディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖水圏での沈水植物オオカナダモ(Egeria densa)のマンガン(Mn)集積性を継続的に調査した結果、植物体のMn集積量は再現性のある明確な季節変動をしていた。オオカナダモのMn高集積に寄与する環境要因として、本年度は特に葉表面の付着藻類が及ぼす影響について調査した。 集落環濠よりオオカナダモを採集し、シアノバクテリアの培養に汎用されるBG-11培地を用いて付着藻類の混合培養を行った。培養した付着藻類はMnを効率的に吸収していた。そこで、限界希釈法や画線分離法を用いて、付着藻類の単離培養を試みた。得られた株の16S rRNAの配列を解析し、藻類の種の判別を行ったところ、Pseudanabaenaceae科のシアノバクテリアが存在していることが判明した。次に、藻類およびオオカナダモ葉表面のMnの化学形態を調べた。呈色反応試薬ロイコベルベリンブルーを用いてMn酸化物の検出実験を行ったところ、3価もしくは4価の酸化型Mnの蓄積が確認された。このことからオオカナダモにおけるMn集積には、葉表面の付着藻類が関与するMn酸化物の生成が関与していることが示唆された。また、オオカナダモ植物体を細胞壁分解処理および酸を用いて抽出処理した後、溶液をアルカリ性とすることで、有用金属であるMnを沈殿させ効率よく回収することに成功した。 福島県内数か所でオオカナダモを採集し、ゲルマニウム半導体検出装置を用いて放射性Csを測定した。経年的に放射線Cs量が減少する場所と増加する場所がみられた。オオカナダモと同一の生息地で観察された貴重植物バイカモなどについてもCs吸収量を調査することで、植物資源保護と効果的な除染との両立について考察した。
|