2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射能除染に適する電気透析装置とそのイオン交換膜の研究開発
Project/Area Number |
24510109
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
陳 進華 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (30370430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 雅春 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (50370341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気透析 / カチオン交換膜 / アニオン交換膜 / 放射線グラフト重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島原子力発電所の事故により、環境中放射性物質が大量に放出され、その除染作業が急務になっている。汚染水の除染は、蒸発法、イオン交換・吸着法及び電気透析法などが考えられる。電気透析は、イオン交換膜と電力を利用してイオン性物質を分離する。陰極及び陽極の間に、陽イオンのみを透過させる陽イオン交換膜と陰イオンのみを透過させる陰イオン交換膜を交互に配列し、原水を流しながら、イオンの濃縮された部分(濃縮水)とイオンの希釈された部分(純水)とに分けられる。 電気透析の最も重要な構成部材であるイオン交換膜は、主として化学的な方法で作製されているが、特性などはほとんど明らかにされておらず、十分に実用的なものが得られているとは言い難い。本研究初年度は、高分子フィルムを基材として、放射線グラフト重合を利用することで、様々な陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を作製し、電気透析用イオン交換膜としての必要性能を評価した。前年度では、セシウムイオンの分離効果に及ぶすイオン交換膜の特性を検討するとともに、アニオン交換膜及びカチオン交換膜の合成条件の最適化を行い、大面積イオン交換膜の合成に成功した。 最終年度は、高イオン交換量を持つ膜と低イオン交換容量を持つ膜を組み合わせた電気透析を実施することで、水溶液中のセシウムイオンを高効率で除去できることを確認した。また、電気透析の脱塩、電極室及び濃縮室の寸法を調整することで、システムの電気抵抗を極限にまで低減させることができ、結果的にイオン除去の電流効率を大幅に向上させることに成功した。さらに、アニオン電解質膜、カチオン電解質膜のイオン交換能の調整や、正・負電荷層を持つ両性荷電ゲル膜を脱塩室に導入することで、高効率電気透析システムの設計が可能になることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)