2012 Fiscal Year Research-status Report
人間の感覚、特に臭気を考慮した新しい室内環境評価法の開発
Project/Area Number |
24510112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中岡 宏子 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (60588648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 千里 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90174375)
戸高 恵美子 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (30334212)
花里 真道 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (00608656)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シックハウス症候群 / 臭気 / ケミレスタウン / 室内空気質 |
Research Abstract |
平成24年度は、ケミレスタウン内の実験棟室内の空気質測定および述べ218名の健康なボランティアによる体感評価実験を3度行った。室内空気質測定については、これまで千葉大学予防医学センターで開発してきた宅配型簡易ポンプによる1時間のアクティブサンプリングを行い、併せてポンプの性能の検証も行った。体感評価試験については、空気質測定前後に、述べ218名のボランティアに依頼して、15分間の室内滞在後、アンケートを取る方法で行った。方法としては、まず全被験者からインフォームドコンセントを取得後、化学物質に対する敏感度を調べる問診、QEESI(Quick Environmental Exposure Inventory)試験を実施、その後、室内に15分間滞在し20分休憩後、別の部屋で15分滞在を行いそれぞれの部屋について臭気や症状を5段階から10段階に分けて記入していただいた。 臭気については、ヒトの感覚によるもので、これまで数値であらわされることが進められてこなかったが、本実験では、室内の化学物質濃度をその化学物質の臭気閾値で除した数値を臭気閾値比として数値化する試みをおこなった。この臭気閾値比はこれまでのプレ実験からVOCと比例することがわかっており、臭気の数値化の検証はおこなっている。 上記実験の結果、実証実験棟室内の総VOC(TVOC)は28μg/m3から18000μg/m3、TOTRは1から293でそれらの値は居室の構造材や内装材により違った。また、今回の体感評価試験の結果から、化学物質に対して感受性の高い人は、TVOC(総揮発性有機化合物)値が400μg/m3以上、またTOTR(総臭気閾値比)が40以上になると何らかの症状を訴えることがわかり、室内空気質の指標となりうることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宅配型簡易ポンプが順調に作動し、1時間の空気サンプリングでも24時間サンプリングと変わらず結果がだせることが検証できたこと、室内空気中の化学物質濃度測定と体感評価試験が順調に進んだため、シックハウス症候群をひきおこす室内空気中の化学物質濃度または臭気濃度がわかってきたことなどから、研究の目標である「人間の感覚、特に臭気を考慮した新しい室内環境評価法の開発」の目途がみえてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
①ケミレスタウンの実験棟内で内装材を変えた場合の室内空気中VOC がどうなるかを明らかにするため、継続して室内空気中VOC を81 物質程度、測定する。 ② 宅配型簡易ポンプでのポンプおよびサンプラー送付がスムースに行くことを確認した上で、関係者以外の、専門家ではない一般市民であっても空気捕集が可能かどうかを検証する。 ③ ボランティアによる室内空気質の体感評価試験を継続し、千葉大学環境医学診療科にて診察を行い、VOC の濃度と症状との関係、臭気と症状との関係を明らかにする。 ④ 上記の研究結果より室内空気がどのような環境であればシックハウス症候群を予防できるかを明らかに新しい指標を設定し、予防対策システムを構築する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は研究発表旅費の航空運賃が、見積時より安価になったため未使用額が生じた。25年度は24年度にひきつづき研究、実験のための室内空気質測定費用と臭気閾値測定費用および成果を発表するため旅費として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)