2013 Fiscal Year Research-status Report
人間の感覚、特に臭気を考慮した新しい室内環境評価法の開発
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24510112
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中岡 宏子 千葉大学, 予防医学センター, 助教 (60588648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 千里 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90174375)
戸高 恵美子 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (30334212)
花里 真道 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (00608656)
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Keywords | シックハウス症候群 / 室内空気質 / 臭気 / 環境改善型予防医学 / ケミレスタウン |
Research Abstract |
平成25年度は7月と1月に千葉大学内ケミレスタウンの実験棟8か所で室内空気中の化学物質濃度測定を2回行いデータの解析をした。また、7月にはボランティア12人による室内体感評価試験を行い、室内空気中濃度・臭気強度と症状の関係の調査をした。 化学物質濃度については、実験棟が竣工後6年を経過した時点での経年変化の考察を行ったところ、平成23年夏には実験棟内の室内空気中TVOC(総揮発性有機化合物)はそれぞれの実験棟で39μg/m3から610μg/m3とある程度まで減衰していたが、2年経過した平成25年の夏には243μg/m3から816μg/m3に上昇していた。なかでも特に(臭気閾値の低い)アルデヒド類は、平成23年7月では15μg/m3から39μg/m3であったのに対して平成25年7月には60μg/m3から269μg/m3と大きく上昇していた。体感評価試験では、なんらかの症状を訴える人は12人中3人であったが、においについては12人中9人が楽に感知できるあるいは強いにおいと回答した。これまで室内空気中の化学物質濃度は時間とともに減衰するものと考えられていたが、そうではない場合もあることが確認された。特にアルデヒド類は濃度が上昇していることが確認され、そのため室内の臭気が強くなっていると考えられる。発生源やなんらかの化学変化によるものなのかの追及が必要だが、エイジングだけでは室内空気中化学物質濃度を減衰できないことを認識する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、室内化学物質濃度の測定と体感評価を行い、データ解析を行った結果から化学物質の経年動向についての新しい知見やヒトの感覚である臭気強度と症状との関係が少しずつ明らかになってきた。今後さらなる解析を行うことで臭気から室内環境を評価し、シックハウス症候群を予防するための対策を構築することができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 一般住宅の室内空気測定および分析をさらに50件程度行う 2) 居住者に質問票による臭気および症状の調査を行い、室内空気環境(化学物質濃度及 び臭気濃度、臭気強度)と自覚症状との関係を明らかにする。 3) 上記からシックハウス症候群を予防できる室内環境の指標を設定、予防対策の構築を 試みる 4) 上記の結果を学会発表、論文発表として公表する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において測定した物質の中の新規物質の同定および経時変動を観察するために時間がかかり、臭気閾値の測定依頼にいたらなかったため。 次年度においては、新知見をまとめるためにも臭気閾値濃度測定の依頼をして新しいデータを得る予定である。また、分析に必要な消耗品、試薬の購入にあてたい。
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Research Products
(4 results)