2014 Fiscal Year Annual Research Report
人間の感覚、特に臭気を考慮した新しい室内環境評価法の開発
Project/Area Number |
24510112
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中岡 宏子 千葉大学, 予防医学センター, 助教 (60588648)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 千里 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90174375)
戸高 恵美子 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (30334212)
花里 真道 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (00608656)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | シックハウス症候群 / 室内空気質 / 臭気 / 環境改善型予防医学 / ケミレスタウン |
Outline of Annual Research Achievements |
室内空気中には多くの化学物質が存在し、シックハウス症候群の主な原因はそれらの化学物質(揮発性有機化合物:VOC)と考えられている。そしてシックハウス症候群問題は原因物質がますます多様化しているにもかかわらず、実態把握が追いついていないのが現状である。そのため化学物質を総量で規制することや人の感覚である臭気を客観的に評価することなどの対策が必要となってきている。VOCの総量についてはISO16000-6で定義しているTVOC(総揮発性有機化合物)があるが、本研究においてはアルデヒド類と測定できるVOCすべてを加算したものをケミレスTVOC(ΣVOCs)とし、ケミレスTVOCとボランティアによる体感評価試験結果との関係を解析してきた。その結果、ケミレスTVOCがおよそ400μg/m3以上になれば、症状を訴える人は有意に増える、ということがわかった。さらにこの集団をQEESIによる問診によって、化学物質に対して感受性の高い集団とそうでない集団とに分けると、ケミレスTVOCが高いほど感受性の高い集団では顕著に症状があらわれることがわかった。臭気とシックハウス症候群については、これまでも密接な関係があると考えられてきた。そこで室内空気中の化学物質濃度をそれぞれの化学物質の嗅覚閾値濃度で除したOTR(Odor Threshold Ratio:臭気閾値比)およびTOTR(Total Odor Threshold Ratio:総臭気閾値比)を開発し、人の官能試験によらず臭気を数値化する試みをおこなった。その後、実証実験で得たデータを基に臭気とシックハウス症候群症状との関係の解析をしたところ、TOTRが40以上の場合、有意に症状と関係があることがわかった。また化学物質に対して感受性の高い人は、臭気についてもTOTRが高いほど症状が出ることが明らかになった。このことからVOC濃度が低い室内においても臭気閾値の低い物質の存在がシックハウス症候群を引き起こす可能性があることが示唆された。
|
Research Products
(10 results)