2014 Fiscal Year Research-status Report
中性子構造解析による先駆的なプロトン移動可視化への挑戦
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24510118
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
日下 勝弘 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10414591)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界最高性能の中性子回折計 iBIXにより得られる高分解能かつ高精度のデータを劣化させることなく処理・解析し、存在確率を含む詳細なプロトン情報を取得することを目的として、H24,25年度に開発した茨城県生命物質構造解析装置iBIXで測定された回折データをより高精度に積分できる方法であるエリプティカルカラム法をH25年度に測定したリボヌークレアーゼAの中性子構造解析データに対して適応しその有用性を実証した。従来の積分法(ボックスサム法)と比べて、積分範囲に入るバックグラウンド領域を減らすことが出来たため、等価反射の一致度が2~3%向上することができた。また、プロトン情報の可視化を試みるために、pDの異なるリボヌクレアーゼAの中性子構造解析データをJ-PARC,MLFの茨城県生命物質構造解析装置iBIXを用いて測定した。またX線解析データを測定した。新たな積分法を用いたデータ処理を行い、HKLFデータの取得に成功した。取得したデータを用いて X-N Joint refinementを行い、水素(重水素)を含む構造を精密化することに成功した。最終的にデータを劣化させることなく存在確率を含む詳細なプロトン情報を取得するために、積分反射強度データに対して擬似的に2次消衰効果補正を行うソフトウェアの開発を進めた。しかしながら、当初想定していたより複雑な解析が必要であることが分かり、現在もその開発を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の構造解析システムに TOF回折データに対する消衰効果の補正機能の追加するには本研究の予算内で困難であると判断したため、積分反射強度データに対して擬似的に2次消衰効果補正を行うソフトウェアを精密化コンポーネントとは分離した形に変更することとした。このコンポーネントが当初想定していたより複雑な解析が必要であることが開発中に分かったため、本年度中に開発を終了することが出来なかった。 H24年度に製作したTOF回折データの高精度積分コンポーネントについては当初の予定通り実際の中性子回折データへの適応と有用性を確認することができた。また、最終的なデータを劣化させることなく存在確率を含む詳細なプロトン情報の取得を試みるためのデータも本年度中に測定と基本的な解析を終えることが出来た。 最終的な詳細なプロトン情報の取得の試みについては、本年度中に終了することが出来なかったため、補助事業期間の延期を申し出ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
世界最高性能の中性子回折計 iBIXにより得られる高分解能かつ高精度のデータを劣化させることなく処理・解析し、存在確率を含む詳細なプロトン情報を取得することを目的とした、疑似消衰効果補正コンポーネントを早急に完成させ、高精度積分コンポーネントと共にその有用性を実証する。さらにこれらを用いてデータ処理および解析を行い、可能な限りのプロトン位置を差フーリエマップをもとに割り出し、その情報を最大限に引き出す。最終的に、活性部位付近の反応に寄与しうプロトンの存在確率を含む高精度な精密化を試みる。得られた構造モデルの位相情報をもとに中性子散乱長密度マップを作成し、これらのプロトンの存在状態の詳細な可視化を試みる。また、得られた成果にを国内外の学会にて発表を行う。
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Causes of Carryover |
H26年度に行うことを予定していた疑似消衰効果補正を行うコンポーネントが当初想定していたより複雑な解析が必要であることが分かり、その開発が想定していた期間内で終了することが出来なかった。プロトン可視化を実証した結果H26年度の結晶学会等で発表する予定であったが、そのアルゴリズムを改めて再考して開発を完了させて解析に適応する必要があるため計画を変更し、開発を継続しているため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発の継続とコンポーネントの適応を行い、次年度の学会等で発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てる。
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