2013 Fiscal Year Research-status Report
低線量放射線の最初期過程観測を目指した光結晶加速器の設計基盤の確立
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24510120
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小山 和義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 先端加速器推進部, 特定教授 (40357041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上坂 充 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30232739)
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Keywords | 誘電体加速器 / 放射線生物学 / マイクロビーム / 電子ビーム |
Research Abstract |
光結晶加速器の設計に当っては、結晶中のレーザー光伝播に影響が大きいレーザー波長や強度、パルス幅も同時 に考慮する必要がある。加速器の作成と実証実験の可能性が最も高い形状である「対向配置透過型回折格子による加速器」に関して、形状およびレーザー強度と加速勾配の関係を明らかにした。電子の速度に応じて最適な格子定数が存在し、相対論的電子に対する最適格子定数はレーザー波長に等しい。低エネルギー電子では格子定数をレーザー波長より小さくすると整合条件を満たすが、格子定数を小さくすると回折効率が急激に低下して加速勾配が小さくなる。格子の高さをレーザー波長程度にすると最適な加速電界を発生できる。一対の回折格子の間隔は波長の1/4程度が最適である。加速最適条件からの誤差の許容度を数値計算によって求め、夫々10%のズレは許容できる事を明らかにした。また、対向させる回折格子の方向を裏表反対にした場合の解析も行い、基板の厚さがサブミリメートル以下であれば、十分な大きさの加速勾配を発生できる事を示した。 加速勾配の上限はレーザーの許容照射強度で制限される。石英製透過型回折格子に対する光学的破壊限界強度および非線形光学効果の影響評価を行い、石英基板の厚さが2mm以下でレーザーのパルス幅が2-3ps以上の場合レーザーの許容照射強度は5x1011W/cm2であり、その時の最大加速勾配は600MeV/mである事を示した。 また、加速電界分布の測定と電子加速予備実験のために、昨年度作成したフォトマスクを使用して露光試験を行い、露光最適条件を決めた。 これらの成果は、論文誌2件、国内外の学会で6件の発表を行った(国際4件、国内2件)で発表した。 一方、東京大に設置してあった12TWレーザーを本課題の他の研究でも使用するために、KEKに移設して機器の整備を行い、集光可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値計算によるパラメータ探索のためには、十分な精度で計算する必要があり計算時間が必要である。そのために、当初予定していた設計指針を与えるためにはもう少しの計算を要する。最適パラメータは概ね明らかにできたので、レーザー照射配位も考慮した設計指針を作ることが可能である。 また、回折格子作成のための最適露光条件を得るために使用した理研のステッパーが故障し、修理・調整に時間を取られた。そのために、露光条件の決定が年度終了の間際になったが、回折格子を作成してレーザー電界計測を行う直前まで至っており、おおむね順調に進展していると言う事ができる。
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Strategy for Future Research Activity |
光結晶加速器では、粒子の速度と格子定数の間に整合条件が存在する。しかし、光の回折効率も考慮すると、非相対論的速度の電子に対しても、格子定数をレーザー波長に等しくして一定値とする方が単純な構造が可能でありこの方向で設計指針を作成する。最終年度の実施に当っては、実験によってレーザー電界を測定して計算と比較して、加速電界生成のための条件を明らかにする。 一方、小さなレーザーでも電子加速を可能にするためには、レーザーパルスの照射方法、位相制御技術、100keV級の超小型電子源が必要である。これらに関しては、現在ある技術の調査と課題の精査を行う。 これらを統合して,学会誌にて実証器設計・試作に関する報告を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
誘電体加速器テストピースの試作に使用したステッパー(露光器)の故障のために試作が遅れ、試作は年度末にずれ込んだ。それに合わせて試作用基板の購入数を見合わせたためと電界分布計測に使用する顕微鏡用対物レンズを見合わせたために、次年度使用額が発生した。 誘電体加速器の試作を行い、加速電界分布の測定と破壊と非線形光学効果による閾値を実験によって求めるためと、学会発表、論文投稿のために使用する。 石英基板 20千円、対物レンズ 110千円、学会参加費および旅費 700千円(内、分担者 100万円)、投稿料 104千円。 合計;934.242千円
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Numerically optimized structures for dielectric asymmetric dual-grating laser accelerators2014
Author(s)
A. Aimidula, M. A. Bake,,F. Wan,,B. S. Xie,,C. P. Welsch,G. Xia,,O. Mete, M. Uesaka,,Y. Matsumura, M. Yoshida, K. Koyama
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Journal Title
Phys. Plasmas
Volume: 21
Pages: 023110-1--5
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] レーザー駆動誘電体加速器の設計2013
Author(s)
小山和義, 松村陽介, 上坂充, 吉田光宏, 夏井拓也, アイミアディング・アイミドラ
Organizer
第10回日本加速器学会年会
Place of Presentation
愛知県名古屋市
Year and Date
20130803-20130805
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