2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510121
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西東 力 静岡大学, 農学部, 教授 (40402234)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 一成 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (90343920)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | イオンビーム / ガンマ線 / 昆虫病原糸状菌 / 殺菌剤耐性 |
Research Abstract |
昆虫に寄生するカビ(昆虫病原糸状菌)は環境への負荷が少ない防除素材として古くから期待されており、そのいくつかは生物農薬として市販されている。しかし、昆虫病原糸状菌を使用すると、殺菌剤を散布しにくくなることから、昆虫病原糸状菌の農業現場への普及ははかばかしくない。 本研究の目的は、量子ビーム(イオンビーム,ガンマ線)を用いた突然変異育種技術によって新機能(殺菌剤耐性)を有する昆虫病原糸状菌変異体を創出し、その特性を解明することである。 研究初年度の24年度は、代表的な昆虫病原糸状菌3種(イサリア菌、ボーベリア菌およびレカニシリウム菌)を用いて、照射試料の形態(培地、フィルター)と照射線量を検討した。その結果、分生子を集めたメンブレンフィルターに照射する方法が作業効率に優れていることがわかった。また、照射線量と分生子の生存率の関係から、高い変異効率が期待される1~10%生存率は、isaria菌の場合、イオンビーム(220 MeV 12C5+炭素イオン)は300~400 Gy、ガンマ線(60Co)は1,000 Gy付近、ボーベリアの場合、イオンビームは250~300 Gy、ガンマ線は300~1000 Gy、レカニシリウム菌の場合、200~400 Gyであることが判明した。 以上の結果から、①照射試料の形態については分生子を集めたメンブレンフィルターとする、②照射線量については、イオンビームは100~500 Gy(100 Gy間隔)、ガンマ線は300~1,000 Gy(200 Gy間隔)とする、こととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度の計画されている殺菌剤耐性変異体の選抜実験を予備試験として実施した。その結果、イオンビームあるいはガンマ線によって処理された分生子の中から、ベノミル添加培地(有効成分1000 ppm)上で発育するコロニーが得られた。 予備試験の結果から、25年度に計画されている「殺菌剤耐性菌の選抜」は当初の予定通り進むと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
イオンビームあるいはガンマ線の単独照射と併せて、両者を組み合わせた二段階照射も試み、殺菌剤(ベノミル、トリフルミゾール)耐性変異体を選抜する。選抜された変異体については、菌糸発育と分生子発芽における耐性レベル(半数阻害濃度)を検定するとともに、他の殺菌剤に対しても耐性を示すかどうか明らかにする。また、変異体の病原性が低下していないかどうか標的昆虫を用いた接種試験によって確かめる。さらに、殺菌剤変異体の遺伝子(βチューブリン)を解析し、耐性発現にかかわる遺伝子を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|