2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510121
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西東 力 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40402234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 一成 東洋大学, 生命科学部, 教授 (90343920)
佐藤 勝也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門, 研究員 (90370402)
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Keywords | イオンビーム / ガンマ線 / 昆虫病原糸状菌 / 殺菌剤耐性 |
Research Abstract |
昆虫に寄生するカビ(昆虫病原糸状菌)は環境への負荷が少ない防除素材として古くから期待されており、そのいくつかは生物農薬として市販されている。しかし、昆虫病原糸状菌を使用すると、殺菌剤を散布しにくくなることから、昆虫病原糸状菌の農業現場への 普及ははかばかしくない。本研究の目的は、量子ビーム(イオンビーム,ガンマ線)を用いた突然変異育種技術によって新機能(殺菌剤耐性)を有する昆虫病原糸状菌変異体を創出し、その特性を解明することである。 研究2年目(25年度)は、24年度に決定した最適照射条件(試料の形態、照射線量等)によって、ボーベリア菌とイザリア菌のベノミル剤耐性変異体を選抜し、それらの耐性レベル(菌糸発育におけるEC50値)を検討した。その結果、親株と比較して、ボーベリア変異体では2000倍以上、イザリア変異体では500倍以上の耐性を確認した。分生子の発芽時のベノミル耐性は認められなかった。ちなみに、バ-ティシリウム菌の殺菌剤耐性変異体は得られなかった。 照射方法(イオンビームとガンマ線の単独照射、双方を組み合わせた二段階照射)については、照射方法にかかわらず、ベノミル耐性変異体が得られ、耐性レベルにも違いがないことを確認した。 ベノミル耐性変異体は、同じ殺菌剤グループ(ベンズイミダゾール)のチオファネートメチルに対して交差耐性を示した。一方、ディエトフェンカーブに対しては負の交差耐性を示した。これらの結果は、ベンズイミダゾール耐性の植物病原菌において知られている知見とよく一致した。 さらに、ベノミル耐性変異体の病原力はあまり低下していないことを確認した。得られた変異体の中には分生子形成能が低下しているものが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
26年度に予定されていた研究(変異体の病原力、分生子形成能)を前倒しで検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
植物病原糸状菌の場合、ベンズイミダゾール耐性の発現にβチューブリン遺伝子の変異が関与していることから、本研究によって得られたベノミル耐性変異体について、本遺伝子の変異箇所を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
注文した消耗品の納入が年度末に間に合わなかったため。 注文した消耗品の購入経費に充てる。
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