2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性薄膜の機能性発現を担う非磁性層の誘起磁気構造解析
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24510122
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| Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
細糸 信好 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (30165550)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | 放射光 / 共鳴X線磁気散乱 / ナノ磁性薄膜 / 間接交換結合 / 交換バイアス効果 / 垂直磁気異方性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
間接交換結合を示すCo/Cu(111)多層膜については、強磁性結合、反強磁性結合を示す2つの試料のCu層誘起磁気構造を明らかにした。いずれの試料においても、Cu層スピン分極は界面から数オングストロームのスケールで減衰しており、Fe/Au(001)と異なり一様なスピン分極を示す内部成分は存在しないことが明らかになった。
二倍周期Fe1/Au/Fe2/Au多層膜につてはFe層磁化が反平行状態におけるAu層スピン分極分布を、別途決定したFe/Au二層膜のAu層スピン分極分布に基づき詳細に解析した。得られた分布はFe1層とFe2層が単独に存在する場合のスピン分極分布の重ねあわせでは説明できないことが明らかになった。内部成分のスピン分極分布は矩形波的であり、Au層が強磁性的に振舞うことを示唆している。
Fe/Pt多層膜の垂直磁気異方性にPt層がどのように関与しているかを調べるため、Pt L3吸収端共鳴X線磁気散乱実験を行った。結果を解析することによりFe層磁化が飽和している状態でも界面近傍のPt磁化は面内から面直方向に傾いていることを示す結果を得た。これは、Fe/Pt多層膜の垂直磁気異方性にPt層が強く関与していることを示唆する。
交換バイアス効果を示すCoO/FeおよびCoO/Au/Fe系についてはCo K吸収端共鳴X線磁気散乱実験を行い、室温でCoOからの磁気散乱信号を観測した。これは、反強磁性CoO層の界面近傍が、強磁性Fe層の直接あるいは間接の影響を受けて正味の磁気モーメントを持つことを示している。
以上のように種々の興味深い磁気特性を示す磁性／非磁性ナノ磁性薄膜の共鳴X線磁気散乱実験により非磁性層の誘起磁気構造を明らかにし、非磁性層の誘起磁性がナノ磁性薄膜の磁気物性にどのように影響しているかについての知見を得た。
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