2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代型不安定核反応実験に向けたRI生成・加速の新手法開発
Project/Area Number |
24510124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺西 高 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10323495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | RIビーム |
Research Abstract |
本年度は九州大学伊都キャンパスにおいて8MVタンデム加速器の設置・調整作業を進めた。本研究が目指すRI生成・加速手法「ガス輸送・単一加速器再加速ISOL法」の実証はこの加速器を用いて行う予定である。これまでに加速器タンク内の加速管および周辺機器の設置、RF荷電交換型イオン源の設置、イオン源から加速器までのビームラインの設置が完了した。本研究に特化した部分では、イオン源に供給したガスを真空排気系から回収するためのポンプの増設を行った。本研究が目指すRI生成・加速手法ではイオン源切り替え電磁石、加速器加速電圧、ビームライン電磁石の設定を自動的に1,2分以内で素早く変更する必要がある。このため、加速器メーカー標準の制御系は使用せずに我々が新たに制御系を開発することにした。これまでのところ、加速器装置全般について制御系入出力の基本動作確認がほぼ終わった。また、イオン源切り替え電磁石およびビームライン四重極電磁石に関する自動制御の実証を行うための準備がほぼ完了した。 実験作業と並行して、低エネルギーRIビームを用いた発展的な実験の物理的な検討を進めた。検討対象として、これまで例のない、核子あたり5MeV程度のRIビームと偏極陽子標的による共鳴散乱の測定を想定した。この測定で得られる偏極分解能の励起関数を見積もるため、我々が以前開発したR行列計算コードの改良を行った。この計算コードを用いたモンテカルロ・シミュレーションを13N+p や 14O+p 等の共鳴散乱について行った。この結果、新たに加わった偏極分解能の情報が不安定核と陽子の共鳴状態を解析するのに有用であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度はイオン源の立ち上げもしくはビーム照射テストのどちらかを行う予定であったが、九州大学伊都キャンパスにおいて設置・調整中の8MVタンデム加速器の作業に集中する必要があったため、どちらも準備をするところまでしかできず、実験を行うことができなかった。かわりに本研究に特化した加速器制御系の構築や将来行う物理実験の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はイオン源の立ち上げもしくはビーム照射テストのどちらかを行う予定であったが、どちらも準備をするところまでしかできず、実験を行うことができなかった。このため未消化の研究費を次年度に回すこととし、今後は以下の方針で研究を進める。 平成25・26年度とも九州大学伊都キャンパスの新しいタンデム加速器の設置・調整作業を進めながら並行して本研究を進める予定である。平成25年度はまだ伊都キャンパスの加速器からのビームを使用できる見込みがないので、かわりに現在稼働中の九州大学箱崎キャンパスのタンデム加速器を使用してビーム照射実験を行う。ビーム照射実験では本研究が目指すRI生成・加速法の要の一つである、タンデム加速器のビームによるガス中のRI分子作成および生成されたRIの測定の試験を行う。また、伊都キャンパスではRF荷電交換イオン源の立ち上げを行う。平成26年度はRI生成・加速法のもう一つの要である、イオン源からの微量分子引出しの試験と実験手法全体の実証可能性についてのまとめを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビーム照射実験のための実験材料費の購入、イオン源関連のポンプ・バルブ・ガス系の部品および試料の購入に充てる予定。
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Research Products
(3 results)