2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代型不安定核反応実験に向けたRI生成・加速の新手法開発
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24510124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺西 高 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10323495)
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Keywords | RIビーム |
Research Abstract |
本研究ではタンデム加速器の特長を生かしたRI生成・加速手法を目指している。本手法では中長寿命RI分子を極微量に含むガスをイオン源に注入してRIの負イオンを生成する必要がある。今年度はこのイオン源のプロトタイプの試験を行った。当面は想定しているRIのうち炭素11や炭素14の生成・加速を目指して炭素原子を含んだガスから炭素負イオンを引き出すことを目標とした。 イオン源主要部はHe負イオンを生成するための市販のRF荷電変換イオン源を利用したが、制御系に改良を加えている。イオン源に注入されたガスは高周波によりプラズマ化され、その中の正イオンが数kV の電圧で引き出される。その正イオンがRb蒸気で満たしたセルを通過することにより、一部が負イオンに変換される。負イオンはさらに10kV以上の電位差によりイオン源から引き出され、電磁石により質量分析される。 まず最初にHeガスを注入し、イオン源の基本動作確認を行った。荷電変換前後の正イオン、負イオンそれぞれについて、質量分析を行い、He正・負イオンの識別をし、電流を測定した。今後、荷電変換セル部の温度を正確に制御し荷電変換効率を最適化する予定である。 次に、二酸化炭素ガスを注入して炭素正・負イオン(C+およびC-)を引き出す実験を行った。質量分析の結果、プラズマ中では二酸化炭素および一酸化炭素の正イオン(CO2+およびCO+)がC+より数倍多く生成されることがわかった。しかしCO2+ と CO+ は負イオンに変換できず、タンデム加速器では利用できない。C+ の生成率が低いのは本イオン源でのプラズマ温度がそれほど高くないためと考えられるが、定量的な解析は今後行う。C+からC-への荷電変換効率は大まかな測定では約6%という結果が得られたが、今後より正確に測定する。さらにメタンガス等、別の炭素原子含有ガスを用いて C- のイオン化効率の測定を行い、本手法に最も適したガスを探す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者が所属する研究グループは九州大学伊都キャンパスにおいて新しくタンデム加速器の施設を整備中であるが、本年度は建物の増設工事のため、当キャンパスでの実験活動はできなかった。その間、九州大学箱崎キャンパスの従来のタンデム加速器施設においてイオン源のテストを進めたが、ビームによるRI生成テストまでは実行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引きつづき九州大学箱崎キャンパスの従来の加速器施設でイオン源のテストを行い、その後、重陽子ビームをガス標的に照射してRI生成テストをおこなう。一方九州大学伊都キャンパスの新加速器施設では平成26年度後半にビームを利用した実験が可能になるため、ここで陽子ビームを利用したRI生成テストを行う。最終的にガス中でのRI生成率、イオン源におけるイオン化効率の評価結果をもとに「ガス輸送・単一加速器再加速ISOL法」において得られるビーム強度の見積もりを行い、いくつかの核種についての実現可能性を議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画の一部が遅れており、測定に必要な真空部品、ガス、検出器の購入を遅らせたため。 イオン源テストおよびRI生成テスト用の真空部品、ガス、検出器の購入に充当予定。
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Research Products
(3 results)