2013 Fiscal Year Research-status Report
X線円形多層膜ゾーンプレートによる高フラックスpinkナノビームの生成
Project/Area Number |
24510125
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
篭島 靖 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (10224370)
|
Keywords | X線光学 / X線ナノビーム / X線顕微鏡 |
Research Abstract |
平成25年度の研究は、NTTアドバンステクノロジ株式会社でX線集光用の円形多層膜ゾーンプレートの作製を行った。マニュアルに従って、最外線幅が25 nmと20 nmの円形多層膜ゾーンプレートの作製を行った。主な作業内容は、以下の通りである。Coupled Wave Theoryに基づく光学特性のプログラムを用いて、円形多層膜ゾーンプレートの最外線幅、光軸方向厚さを決定した。次に、直径約2 mmのガラス棒に1時間MoSi2とSiを各々成膜し、段差計を用いて成膜量を測定し、成膜レートを算出した。スパッタリング装置に成膜プログラムを転送し、寸法測定器で予め直径を測定しておいたガラス芯線にMoSi2/Si多層膜を成膜した。最外線幅が狭くなるほど、層数が増え、最外線幅20 nmの円形多層膜ゾーンプレートの成膜には半日を要した。多層膜積層後、補強のため6時間程度MoSi2を積層させた。次に多層膜を積層したガラス芯線の包埋作業を行った。ガラス芯線を粘土で固定し、直径1 cmのアルミ筒をかぶせ、樹脂を流し込んだ。8時間放置することで樹脂が硬化し、ガラス芯線が固定される。包埋したガラス芯線を精密切断器で1 mmに切断し、研磨機で目的の厚さまで研磨を行った。研磨の具体的な作業内容は以下の通りである。複数の包埋したガラス芯線を1度に研磨を行うので、全てのサンプルの厚さを整える面出しを行い、砥粒の大きさを、段階を踏んで小さくしていき、目的の厚さまで研磨を行った。最後に薄片化したものに補強を行うことで、円形多層膜ゾーンプレートが完成する。大型放射光施設SPring-8にて評価実験を行い、昨年度作製した最外線幅30 nmの円形多層膜ゾーンプレートにおいて、30 nmの集光サイズと24%の回折効率が得られた。また、最外線幅25 nmの円形多層膜ゾーンプレートにおいて、25 nmの集光サイズと24%の回折効率が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
円形多層膜ゾーンプレート(CMZP)作製の手順もほぼ確立し、作製精度も向上した。最外輪帯幅25 nm程度のCMZPを試作することが当初の当該年度の目標であったがこれを達成し、本研究の最終目標とする最外輪帯幅20 nm程度のCMZPを試作するところまで進めた。放射光を用いた集光性能評価でも、最外線幅30 nmのCMZPにおいて、30 nmの集光サイズと24%の回折効率が得られた。また、最外線幅25 nmのCMZPにおいて、25 nmの集光サイズと24%の回折効率が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、最外線幅が20 nmのCMZPの作製を進める予定である。それに伴って、SPring-8での 集光特性評価もあわせて行い、性能の確認を行う。また、電子顕微鏡を用いた膜の観察も行う。 研究成果を国際学会(X-Ray Microscopy 2014@オーストラリア)にて発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スパッターゲットの消費が予想を下回ったため、新たに購入する必要がなかった。 旅費に約145万円、物品費に約25万円、報告書作成に約3万円の予定。次年度使用額(38,938円)は物品費に使用予定。
|
Research Products
(2 results)