2013 Fiscal Year Research-status Report
高品質中性フリーラジカルビームの生成法の改良と準安定凝縮相の作り分けへの応用
Project/Area Number |
24510127
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 啓治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30281455)
|
Keywords | 中性フリーラジカル / レーザー / 量子デバイスプロセス |
Research Abstract |
研究代表者が提案した高品質中性フリーラジカルビーム(RBNR)生成法のうちPhoto-Dissociation of Energetic Compound Beam(PDECB)法 では,真空条件下で,高純度化したUnimolecular Energetic Dye(UED)の分子ビームに可視~近紫外波長域のCWレーザー光を照射して波長選択的に光解離させ,所望の中性フリーラジカル種の連続ビームを効率良く得る.PDECB法の特徴は,UED化合物のうちから原料を選ぶところにあり,UED分子の光解離にはフォトンのエネルギーではなくUED分子に内蔵されている化学エネルギーが用いられる.しかもUED分子は発色団を有し解離性光吸収端波長が可視~近紫外域まで伸びているので,光解離に利用できる高出力のCW光源の選択肢が広く,効率良く中性フリーラジカルビームを生成することが可能となる. UED分子に共通した特徴として,熱分解温度に比べ低い温度領域では,分子ビームの加熱によって,項間交差が促進され,光解離によるフリーラジカルの収率が,熱解離生成種の収率の増加に比べ大きく向上することを,研究代表者は見出した. 平成25年度は,実験装置で生成される中性フリーラジカルビームの制御性の更なる改善を図った.さらに,原料分子の特定振動モードの波長選択的電磁励起などを併用することにより項間交差を促進し所望の中性フリーラジカル種を反応選択的に生成するintercrossing-enhanced PDECB法の確立を目指し,実験結果をもとに,項間交差が促進される量子論的な機構について系統的な解析を行い,中性フリーラジカルを含む光解離生成系と熱解離生成系との収率の比を大きくする指針を得た.また,RBNRを利用して実現される無欠陥のラテラル歪超格子から成る弾性接触動摩擦系をナノ動摩擦法則の探究に応用した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に所属研究機関(大学)から指示があり,現有の研究設備(実験装置およびコンピュータ)を,平成24年度末に完成した新しい研究所の建屋へ移設する必要が生じた.平成25年度は,この移設に伴う研究設備のチューニングのため,当該研究の研究計画調書に記した研究計画の内容のうち,どれから手をつけるかについて変更をした しかし,主たる研究目的の達成のために3年間に挙げるべき成果のうちのどれだけを平成25年度までに達成できたかの割合からいえば,おおむね当初の計画通り研究を進められている. 貴助成金にて購入した新規研究設備を用いることにより,データ解析を効率化でき,研究が進んだ.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,これまでに得た研究成果をもとに,intercrossing-enhanced PDECB法の雛型を提案する. また,当該研究の最終年度にあたり,この3年間の研究成果を総括し,公表する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中性フリーラジカル生成,高品質中性フリーラジカルビーム(RBNR)プロセス,および,RBNRの応用研究について,研究の成果として3年間に蓄積したデータを公表する際に,複雑な素過程のダイナミクスの解釈を明解に説明するため,可視化が必要となった. 中性フリーラジカル生成,高品質中性フリーラジカルビーム(RBNR)プロセス,および,RBNRの応用研究について,素過程のダイナミクスを可視化する環境を,貴助成金により構築する.
|