2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510130
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
深澤 裕 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (30370464)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 米国オークリッジ国立研究所 / 韓国原子力研究所 |
Research Abstract |
水素原子の配置が一方向に偏った強誘電性の氷が室温近傍で安定に存在する条件を明らかにするのが本研究の目的である。中性子ビームを用いて水素の偏りの程度を精密に分析する手法を開発するとともに、この強誘電性氷に水中の金属イオンを結合させて、水に不純物として含まれる放射性セシウムイオン等の濃度を低下させることを目指している。 平成25年度は、平成24年度に製作したFWI(Ferroelectric Water Ice)評価用の装置群(FWI解析システム)を利用して各種条件でFWIの強誘電性を調べた。特に、オークリッジ国立研究所の研究用原子炉HFIR及び韓国原子力研究所の研究用原子炉HANAROにて中性子ビームを用いたFWI発現の検証を実施した。 その結果、親水性と疎水性を有する特定のポリマーで形成されたゲルの内部において、水分子のクラスターがFWIを形成している構造的証拠を得ることに成功した。このFWIは室温程度の高い温度域においても安定に存在することを確認した。 さらにゲル内部に存在するFWIが周囲に存在する水溶したセシウムを吸着することも明らかになった。成果の一部については新しい除染材料の発明として特許を出願するに至っている。 以上の結果から、当初の目的を達成することが出来た。現在は、さらに効率化を目指した開発研究を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度にオークリッジ国立研究所及び韓国原子力研究所で実施の研究により、FWI(Ferroelectric Water Ice)評価用の装置群(FWI解析システム)を利用して、親水性と疎水性を有する特定のポリマーで形成されたゲルの内部において、水分子のクラスターがFWIを形成している構造的証拠を得ることに成功した。さらにゲル内部に存在するFWIが周囲に存在する水溶したセシウムを吸着することも明らかになった。 従って、本研究の主たる目的である強誘電性氷の安定化に成功しており、現在までおおむね順調に研究が進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究でセシウムを吸着させる材料が新たに創製された。この吸着効率を高めるとともにストロンチウム等の他の汚染物質をも吸着出来る材料開発を進める。また、今回使用したポリマーとは異なる種類のポリマー中においてもFWI発現性を調べ、その発生メカニズムを分析する基礎研究も進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、国内の研究原子炉施設に実験装置を設置して研究を実施する予定であったが、震災の影響で原子炉が稼動しなかったことから装置設置を見送った為に当初購入予定の装置の導入を見送った。 平成26年度においても国内では研究用原子炉が稼動しない見通しであることから、米国、韓国、オーストラリア等の原子炉利用を予定しており、これに必要な旅費等の使用を予定している。
|
Research Products
(4 results)