2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510133
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中島 健次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
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Keywords | 中性子散乱 / チョッパー型分光器 / ディスクチョッパー / 多重Ei測定 |
Research Abstract |
本研究は、J-PARC等国内外に近年出現した強力なパルス中性子源とやはり近年大きな進歩のあった複数の入射中性子エネルギーを利用して高効率で広い帯域の測定を行う手法を手がかりに、これまで主としてエネルギー相関しか得られなかった中性子非弾性散乱実験法を大きく改良した直接時間相関を得る新しい測定手法と関連する機器の技術開発を行うものである。特にその中心は、取り出せる中性子エネルギーの数を増すことで測定効率を上げる多孔スリット型の高速ディスクチョッパーの開発であり、それらを用いた測定手法、解析手法の開発を含むものである。その中で、本年度は、平成24年度に国内で唯一高速ディスクチョッパーを製造することのできるメーカーの社内方針の問題で実施できなかった2スリット型ディスクチョッパー用ディスクの開発に傾注した。年度前半に社内方針の変更をメーカーとの交渉により進め、成功させ、遅れていた開発を加速するために、前年度から繰り越した分と合わせた研究経費をこのディスクの実施設計と強度計算に集中的に費やした。結果、従来、180度対向した二つのスリットを併せ持つ300Hzに耐ええる直径700mm程度のディスクは成立が困難といわれていたが、スリットの片側、円盤外周側を開放する従来の形状に変えて、外周側も切れ目をなくし、窓上にくりぬく形状を考案し、その模型に対して数値計算の検討を行い、成立に一定の目処を立てた。しかしながら、形状の検討に時間を要したため、数値計算にはまだ不十分な点があり、実際の製作にはさらなる検討が必要となり、製作には至らなかった。来年度においては、今年度に続いて形状についての解析を行い、できるだけ早期に試験用ディスクを完成させ、実際のJ-PARCの分光器による実証試験の段階に移りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度から開始する予定であった2スリットディスクの製作であるが国内で唯一製造可能なメーカーが社内の方針で受注が難しい状況であり、その開発を同年はあきらめ研究費を繰り越して、平成25年度からと変えた。同メーカーの方針変更撤回を交渉しこの点については解決して本年度は2スリットディスクの開発を目指すことができたが同年中に終わらせる予定の試験ディスクの製造までには至らなかった。今後、研究計画をさらに再検討し、本年中の早い時期に試験ディスクを完成させ、実際の実験装置を使った効率化の実証試験を完了させて研究を完成させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、スリット型ディスクチョッパーを用いた際の高効率測定について、数値計算や解析的手法による机上の検討と、多孔型ディスクを実際に製作してJ-PARCの実際の分光器にて行う実証試験とが対になっている。机上の検討については平成24年度以降順調に進捗し、必要な検討はほぼ終わりつつあるが、実証試験用の試験ディスクの製作に遅れが生じている。今後は、この試験用ディスクの製作を急いで実証試験を速やかに行うべく努力すると共に、万が一実証試験までたどり着けなかった場合の代替のシミュレーション検討等についても準備を進め、研究期間内での研究完遂を目指す。
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Research Products
(6 results)